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なぜこんなことになっているかと聞かれたら私もなんと答えていいかわからない。ただまあ弁解させてもらうとすればあれだ、成り行きってやつだ。ほら私たち、青春時代全力疾走中の思春期男女だから。黄瀬は自分の胸に埋めた私の顔を離し、ゆっくりと背を曲げた。「目、瞑らないんっスか」ふっと笑いながらそんなことを言う黄瀬はもう眼前ぎりぎりにいる。吐息が鼻の頭にかかった。「まあいいけど」そう言ったかと思うと黄瀬は私の唇を、ぺろりと舐めた。ぞくぞくとした感覚が背筋を走る。そのあとはちゃんとリップノイズをさせたキス。「…ん」思わず私の口から鼻にかかるような声が漏れた。

「…どっスか?」
「気持ち悪い」
「そうじゃなくて、」
「…慣れてるなって思った。やっぱり遊んでるんだね、ゲーノー人」
「ていうかモデルっスけどね」


あ、でもモデルって芸能人なんスかね?タレント名鑑に載ってるんスっけ?と黄瀬は考え込むような素振りを見せた。ちなみに専属モデルはタレント名鑑に載っている。確か。読者モデルは知らないけれど。ていうかこの状況、人目に付いたらヤバいんじゃないだろうか。私、ファンの子に見つかったら刺されちゃうんじゃないだろうか。今更になって焦る。

「黄瀬って私のこと好きなの?」
「なまえっちも野暮っスねえ、それ聞いちゃう?」
「悪いけど聞いちゃうわ」
「うーんどうだろ、どっちだと思う?次回までの宿題っス」



次回ってなんだ。


「ね、もう一回キスしてもいい?」

黄瀬はいたずらに笑ってそう私に確認する。「…いやな男」「ひどいっスよお」それを承諾の意と取ったのか黄瀬はまた屈んだ。今度はちゃんと本格的なキスだ。長いキスの間一度だけ目を開けると、当たり前だがそこには目を閉じた黄瀬の顔のどアップがあった。私より長いかもしれない睫毛がふさふさ生えている。顔を離される。目を細めて黄瀬が笑う。鼻の骨を折ってしまいたいような衝動に駆られる。もしその綺麗な鼻筋を今私が不意打ちで折ってしまたら黄瀬はどうなるだろう。鼻の骨折は下手をするともとに戻らないことが多いらしい。施術した医師の腕前次第では、治っても永遠に曲がったままの鼻になってしまうこともあるそうだ。もしそんな鼻にされたら、黄瀬はいったい誰を責めるのだろう。私だろうか、それとも医者だろうか?ぼんやり思案を巡らせていると私の様子に気付いたのかもう一度抱き寄せられ、耳元で囁かれる。「なまえっち、宿題。ちゃんと考えてきてね」つくづく困った男だ。そんなことをして間違ってなんかが芽生えてしまったらどうしてくれる。



される


チャラい黄瀬。
(120617)