※オビト目線


「ねぇ、先生?」
「っ〜〜」

艶かしい肢体を腕に擦りつけてくれるその姿に頭がショートを起こしそうだ。

いつものように名前が俺の名前を呼ぶから振り向けば、そこにいたのは大人の姿になった彼女で言葉を失った。それに…なぜかすげぇ距離が近いし…。オーバーヒートで爆発して死んでしまいそう。

「せんせぇ?私上手に変化できてますか?」
「お、おう」
「よかったぁ!」

きゃっきゃと嬉しそうに飛び上がる彼女に視線をそらす。直視ができない。この赤い顔を見られるのも嫌だったし、訳がわからないしで若干パニックだ。

「先生!ちゃんと見てください!」

なんの罰ゲームだこれは…!俺が何をした…!教え子を好きになった罰か!?なら仕方ねえな!!くそ!!

思わず無言で拳を握る。唇をぐっと噛み締めながらちらりとそちらを見ると、俺の体に押し付けたため歪んだ谷間が目に入って顔を真反対に振る。首から変な音がしたがもう今更そんなことどうだっていい。

「先生ー!!」
「いや、まて…っ」

ぶすくれる彼女を手のひらで制止する。心臓とか…いろんなところに悪すぎる。なんかいい匂いもする気がするし…普段の可愛い名前ですらお手上げなのに、大人の色気なんて加算されたらひとたまりもない。そう思う反面、自分がロリコンじゃないことを再認識できて安心した。
名前だから好きってことだろう。少し自分の性癖が怖かったからよかった。非常に良かった。

「まてないです…」
「名前…」
「頑張って変化したので見て欲しいのに…」

そんなこと言われたって…。今一度ちらりと見て、パッチリとした瞳に浮かぶ涙に変な声が出た。ダメださっきから心臓が爆音しか鳴らさない。

しかしここで冷静な態度を取らないと、俺は先生失格だろう。ちゃんと大人な態度で対応しないと…。
こほんと息を整えて、彼女の腕を逃れるとそちらをまっすぐ見つめる。悔しいぐらいに可愛いが、今の問題はそこじゃない。いつも通り、あんなに毎日好きって言われたって我慢してるんだ。いける。俺は、真の大人だ…!

「名前…!」
「やっとちゃんと見てくれたあ!!」

パァアア!と花が咲かんばかりに笑顔を浮かべていうものだから、脳内がフリーズする。ちゃんと言おうと思っていた言葉も全て飛んで行った。
惚れた俺の負けということか…。

「ああ…上手に変化できてる」
「ありがとうございますっ!!」

散り散りになった理性を必死にかき集めて伝えると、名前はその場でくるりと回ってみせ、少しだけ大人っぽい表情で俺を見上げてくる。

「可愛いですか…?」

これで可愛くないという奴がいるなら是非俺の前に名乗りをあげてほしい。一発殴って目を覚ましてやるから。

「かわいい、です」

思わず敬語で答えると、彼女はぼふんっと変化を解いて「良かったぁ!」と笑顔を見せてくれた。名残惜しいと思う俺と、いつもの姿もやっぱり好きだと思う俺がいて心底困惑する。いつの間にこんなにズブズブ行っていたのだろうか。

「えへへ、先生大好きです!」

いつもの調子でそう言う彼女に、俺はうんと愛情を込めて、少しでも伝わるように言葉を返す。


「俺も好きだ」


名前は「やったぁ!」と笑って、また伝わっていないな…と肩を落としてしまう。まぁ…今はこれでいいか…。
あのてこのてでせめるべし

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