019

頭に一番星をつけて、私は修練場に急ぐ。イタチさんにもらった髪飾りを家で確認したらすごく可愛かったし、ナルトくんにも「すっげえいいと思う!!」って意気揚々と答えられたしで、今日はいいことばかりだ。このままシスイさんの稽古だなんて、幸せすぎてどうにかなってしまいそう。
ちなみに以前頂いた服は家で大切に保管している。なんとか血も落として、どこに使うにしてもいいようにほつれも修繕した。まあ、使うとしても恥ずかしいから家で着るだけだろうけれど…。

「あ、シスイさん!」

修練場の入り口に立っているシスイさんを見つけて駆け寄る。彼の方が早いのは珍しい。こうやって待ってもらうのは申し訳ない反面嬉しかった。

「おー、ながれ。って、どうしたんだその髪飾り」
「あ!えへへ…。イタチさんが前髪止めるのにってくださったんです…」

真っ先にこれを自慢したかったのでそう告げると、彼は微妙な表情で頭を掻く。まさかそんな反応をされると思っていなくて、「似合いませんか?」と問うと「いや、そうじゃない」と言われて疑問は増えるばかり。

「あー…なんだ、実は俺も…」

そう言って彼はいつも忍具を入れているポーチから何かを取り出し、私の手に乗せてくれた。

「これ…」
「まさかイタチに先を越されるなんてな」

それは今私が髪に付けている星の髪飾りと全く同じもので、言葉がない。

「稽古中に前髪がウザそうだったのと、頑張っている褒美に…と思ったんだが…」
「………ふふ」

必死そうなシスイさんについ笑ってしまう。なんで笑うんだよとじとり私を見据えるその表情も、紅潮しているため少し幼く見えた。

「いえ…考えることが同じなんだなって、嬉しくなったんです」

私は一度イタチさんの髪飾りを外すと前髪を真ん中で分け、左にイタチさんの、右にシスイさんの髪飾りをつけた。両方につけたらバランスもいいし、見栄えも悪くないだろう。

「これでちょうどいいです」
「ながれ…」

シスイさんはパァッと顔色を明るくし私の頭をいつもより激しく撫でまわした。お陰で髪はボサボサに、折角つけた髪飾りも外れかけてしまったので慌てて付け直した。そんなの御構い無しに、次は抱きしめて来ようとするシスイさんに私は身を引いて遠慮しておく。

「ちぇ…。まあいいか、じゃあ、今日も始めるぞ」

そう言ってこちらに差し伸べられる手に、私の手を重ねる。

「はい!」

まるでエスコートされるように修練場の階段を降りる。
こんなに幸せでいいのだろうか。きっと、いいんだよね?
ずっと、このままでいれたらいいな。


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