「も、もう無理だよ」 「そう言わず、めったに来ないんだから飲みなさいって」 「そうそう!!ヒーローだって飲まなきゃやってられない時だってあるでしょ〜」 「そ、その時は自分でわかまえて飲むからほっといてくれ!!」 暴れようとするが、羽交い締めにされ次から次へと酒を注がれるスプレンディド。 例の大人組の飲み会に誘われたスプレンディドは、仕事終わりに会場となっているラッセルの自宅へ赴いた。 中では既に出来上がった大人達が騒いでいた。 「ようヒーロー!!遅かったじゃねぇか〜」 ビールジョッキを掲げたラッセルが満面の笑顔で迎え入れてくれた。 「ヒーロー〜はやく来なかったからおつまみ無くなっちゃうよ」 こちらはいつもとあまり変わらない笑顔を張り付けたランピーがいつの間にか回り込んだらしく、スプレンディドの背中をぐいぐい押しながら部屋の中に進める。 ざっと見回してみると、ランピー、ラッセルはいつものメンバー。今回はそこに珍しくモールとハンディーもいる。 「ポップはカブが風邪気味だから欠席ね」 「ああ、そう」 「フリッピーはお酒の買い足しに買い物行ったところ」 「ああ………そう」 意識はしてなかったが肩が落ちていたらしく、ランピーはケラケラ笑いながらそれを指摘し、スプレンディドに大きなジョッキを渡して酒を注ぐ。 「ちょっ、無いんじゃなかったのかい!?」 だからフリッピーが買い足しに行ったのではと驚いていると、机の上にはズラリと洋酒のボトルが並んでいる。 「無くなったのは缶とかで、こっちはまだ豊富にあるんだ〜♪ささ、ヒーローも飲もう!!」 そして冒頭に戻る。 「許容範囲を超えて…」 「酔っちゃえ酔っちゃえ、そのためにたくさん大人が集まってんだから」 「君たちみんな酔っぱらってんだろ…」 ヤバイ、本格的にヤバくなってきた。 全く飲めない訳ではない。 しかし一度にこれだけ飲めば酔っぱらうに決まっている。 ああくそ……意識が、 ****** 「………ったく…こんなに大量に買い込んでアイツらどんだけ飲む気だ…」 気づけば1人、夜道を歩いていたフリッピー。 手にはずしりとくる袋があり、中を覗くと各種缶ビールや焼酎、カクテルが入っている。 まさか1人でこんなに飲むわけが無いなと思っていると、そう言えばフリッピーが例の飲み会に誘われていた事を思い出す。 仕方なくたぶん毎度会場になっているだろうラッセルの家に向かい、袋を置いて帰る。 そのつもりだった。 大きな袋を抱えたフリッピーが扉を開けると、中はすごい事になっていた。 飲み干した空のボトルは床に大量に転がり、ソファーには酔い潰れたラッセルがひっくり返っている。 ソファーの裏を覗き込みとランピーもうつ伏せで倒れていた。 「……………」 キッチンを覗くと、モールとハンディーも倒れていた。 「…………飲み過ぎか」 部屋の中を見れば一目瞭然。 「……こんな度数の高ぇ酒ばっか飲みやがって」 「フリッピーくん」 「ッあ!?」 背後から声をかけられ、身体が跳ねる。 振り向けば、そこにいたのはこの街のヒーローであるスプレンディド。 そのスプレンディドが一歩、フリッピーに歩み寄る。と、フリッピーの足も一歩下がる。 「て、テメェさんも来てたのか」 「そう、誘われたからね」 「珍しいな、じゃあ俺は帰る」 背中を見せ急いで扉に向かうが、腕を捕まれ引き寄せられる。 「ぅあ、」 「まぁ待ちなよ」 背後からいつもよりもやけに熱っぽい声が言う。 捕まれた手も、耳元にかかる息も熱い。 こいつ、 「てめ、酔っぱらってッ…」 「うん?」 「だ、から、酔っぱらってんだろ!!」 必死に振りほどこうとしても敵うわけがない。 むしろ身体は強く引き寄せられ、密着する。 「離せバカ…」 「軍人くん」 「ぅわ、ぁ、」 スプレンディドの手がフリッピーの身体をまさぐり始める。 軍服の前を開き、アンダーシャツの下から手を中に潜り込ませる。 「テメェ…、止めろ!!」 「んー…」 「ひッ!?」 首筋に唇を落とされ身体が跳ねる。 服の中を探る手も、胸の中心を捕らえ指先でそこを弄り始める。 「や、だっ……」 「なにがだい?」 背後からの行為に、スプレンディドの顔は全く見えない。 「なにが、いや?」 「ッ………いいから、離れ…」 振りほどこうとする手はすぐに避けられ、抵抗らしい抵抗は出来ない。 そうしている間にスプレンディドの手は下に向かい、フリッピーの下半身に伸びる。 「ッあ、」 思わず声が漏れる。 「ここ、固くなってるじゃないか」 「ッ…………」 「いやじゃない」 「止め…」 いつもと全く違う。 「や、やだ…」 「ああそうか」 瞬間、ズボンの中に手を入れられ直接フリッピーの自身を扱きだす。 「ぁ、や、ぁあ」 「……皆の前だから嫌なのかな?」 「ち、違っ……」 言われて思い出す、この家にいる他の住人の存在。 「まぁ、こんな君を他の住人に見せたくないからね…」 フリッピーの心配を余所に、手を休めないスプレンディド。 呟いたかと思うと、フリッピーの身体を抱えてラッセルのベッドに落とす。 息つく間もなく、その上に重なりフリッピーに口づける。 「んン…ッ、」 逃げる腰を引き寄せられ、膝で中心を押される。 飲み込みきれない唾液が唇の端からこぼれると、ようやく口を離されそれを舐めとられる。 「軍人くん、」 「や、ぁ……」 息があがり、身体に力が入らない。 身体が重い。 部屋に充満していたアルコールに酔ってしまったのか……… ――――――そうに違いない 肩から力を抜く。 だったらもう全て酒のせいにしてしまえばいい。 たまには、本当にたまには… 「す、スプレンディド…」 求めてみても、 熱くなった身体を求めるように、フリッピーはスプレンディドの首に腕を絡めて引き寄せる。 が、その瞬間 ガクン 今まで覆い被さるようにしていたスプレンディドが、急に力が抜けた人形のように落ちてきた。 「ぅわ、あ!?」 驚き、真横にあるスプレンディドの顔を覗き見る。 と、 「…………………寝てやがる」 酔いが最高潮に回ったらしく、スプレンディドは寝息をたてていた。 「……………死ね」 ****** 翌日 「え、ヒーロー寝ちゃったらしいね〜僕は全部見てたから一応知ってるけど〜」 ランピーは見た。 そしてヒーローに告げる。 ヒーローは叫ぶ。 記憶は無い。 フリッピーは……………… ****** |