今さらながらに5月ネタ… 「あー…もうすぐ見えてくるね」 乗車率の少ないローカル線を走る電車の中でフリッピーは呟く。 たったいま、電車は目的地の駅に着く前に通る、最後のトンネルを走っている。 このトンネルさえ抜ければ、そこに広がるのは懐かしい地元。 「みんな元気かな」 『前に会ったばっかだろ…』 「あ、起きた?」 『飽きた』 フリッピーにしか聞こえない声が返事を返す。 「もうすぐ着くよ、それに前にって冬休み以来だろ?約半年前なら十分長いよ」 周りに人がいないからか、安心してフリッピーも言葉を返すことが出来る。 『わざわざ帰んなくたって…家でごろごろしてりゃ良いじゃん』 「そうは言っても…長期の休みに帰らないとジェネラルさんわざわざ仕事サボって来ちゃうから」 苦笑いするフリッピーに、声も『確かに…』と苦い返事を返す。 『あいつらとは会うのか?』 「ああ、うん…予定が合えば、だけど」 『どうせ暇だろ』 「一応3年生だよ、2人とも…なにかと忙しいんじゃ」 言葉を続けようとしたフリッピーのケータイからメールの受信音が聞こえた。 確認してみると、まるでタイミングを見計らったかのような同時送信で、たったいま話題にしていた2人から来ていた。 『なんだ?あいつら?』 「うん…あはは、本当に気が合う2人だね」 『一斉送信か?』 「違うよ、2人それぞれが僕に送ってきた」 『それが同時?』 「まぁね」 手早く返事を返す。 2人とも帰ってくるなら今から遊ぼう、という内容だった。 タイミングからみて、フリッピーが帰ってくるであろう電車の到着時間を把握していたのかもしれない。 「よし、と」 『なんて返した?』 「一度帰ったら、って」 『はぁ!?良いじゃねぇかそのまま行きゃ』 「でも」 『一回帰ってあのオッサンいたらなかなか出れねぇだろ』 「………まぁ、うん…でも一回顔出せとは毎回言われてるし」 『俺は守ったことねぇけどな』 「知ってる、だからしつこく言われるんだよ」 送信ボタンを押す。 ちなみに2人に一斉送信。 「さて、そろそろトンネル抜けるから準備しなくちゃ」 言った瞬間、電車はトンネルを抜け、眩しい光が窓から差し込む。 5月の晴れ日、新緑と共に田舎なここでは鯉のぼりがあちらこちらに立っていて、優雅に空を泳ぐ。 「鯉のぼりか、懐かしいな」 自分がまだ小さかった時には、わざわざジェネラルが竿を立てて鯉のぼりを上らせていた。 さすがに14、5あたりには上げなくなったが、それでも懐かしい。 ちょうど庭の角に竿を立てて… と、電車から家の方角を見てみる。 「……………!!!!!!」 思わず窓に張り付く。 そこから見えたのは、他の鯉のぼり同様に空をたなびく何か。 しかし長い竿に空高くくくりつけられたそれは、決して鯉のぼりでは無い。 「な、な、…」 『あの野郎…』 電車はゆっくりと小さなホームに入っていく。 チラリと、ホームの端に仲良く喧嘩をしているあの2人が見えたが、今はそれどころでは無い。 「あっの…野郎!!」 荷物をひっ掴み、切符を渡して駆け出す。 なんちゅう物を登らせてんだ!! 小高い丘の上にあるそれは、さぞかし目立つことだろう。 【おかえりフリッピー】 と書かれた横断幕。 「殺す!!殺してやる!!」 『はぁ…』 家ではきっと笑顔で待ち構えているのだろう、その人を思い浮かべる。 「おかえり、フリッピー」 きっと、開口一番そう言われるんだろうな… うん、 『嫌じゃ無いけどね、』 「殺す!!」 ******* あー…久しぶりの拍手お礼文ですすみません半年放置でした… ちなみに5月ネタ…5月あと少し… そう言えば去年5月書いていなかったな〜と思いだし、急遽書いてしまいました。 ちなみに今年はハピツリ学園ネタで拍手お礼文を書こうと…思って… と、とにかく拍手ありがとうございました!! 現パロ楽しくて楽しくて仕方がない管理人です← |