ああそうか、好きになるってこういうことなんだね




夜空いっぱいに、天の川が広がる。

星がこんなに綺麗だとは知らなかった。

「ほら。あれがデネブ」

心持ちいつもより楽しそうなあなたは、白鳥座の1等星を指す。

「それから、右上にあるのがアルタイル。左の、一番明るい星がベガ」

これで三角形ができるよ、と彼が小さく微笑んだ。

それから少しの間、無言で。

ちらっ、とあなたを見ると、やっぱり楽しそうだった。

本当はずっと、どこかでわかっていた。

どんなに想ったとしても届かないって。

ほろりと落ちそうになる滴をぐっとこらえた。

ああ、この涙が星になってしまえばいいのに。

「アカリ…?どうした」

「ううん。何でもないよ」

再び上を向いた彼との距離は、そんなになくて。

手を伸ばせば届きそうなのに。

「…届かないよ」

誰にも聞こえないようにそっとつぶやいたら、きゅっと胸が痛んだ。



ああそうか、好きになるって
こういうことなんだね



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