恥ずかしいんだもん


「すぐる…そんなに見ないで?」
「駄目だ。私の前でして」
「ん……でも、やっぱり…」
「見せたくないの?」
「だって…恥ずかしい」

クッソかわ。耳真っ赤にしちゃって涙目で傑を見上げる僕の嫁は今日も世界で一番可愛いです。

「てかそのオナニー見せるみたいなテンションやめてくれない?」
「っ!!そんな事してない!!」
「はぁ。悟、揶揄うな」

いやいや、そんな事言って傑の口角上がってんのこっちから見たらバレバレだからね?
ソファーでイチャついているようにしか見えないやり取りをもう十分程ダイニングから眺めていた。
名前も意外と頑固だもんなぁ。諦めて早く終わらせてくんないかな?声だけ聞くと卑猥な会話にムラッとしてしまったのだから仕方ないでしょ。元はと言えば悪いのは名前だし、本当にオナニーでもさせようかな?




「名前お疲れ様!怪我ない?大丈夫かい?」
「もう、傑は心配性なんだから。怪我してないし無事、祓除出来ました!」

高専に戻って来た名前を傑と共に出迎えた。毎回顔を見るまで死にそうになるくらい不安で押し潰されそうだけど名前は僕達の為に一級術師になる程に血の滲む様な努力を積んでくれたのだから、信じて待つしかない。
それに僕達の任務を引き受けたいと望んだのは彼女なのだから守りたいと言ってくれた気持ちを尊重するしかないのだ。
まぁ、この僕と傑が心を鬼にしまくってちょースパルタで鍛えあげたのだから簡単に死ぬ筈も無いし、六眼に無下限に呪霊操術だよ?
あれ?もしかしなくてもチートじゃない?
強くて美人なんで最高じゃん。

「おかえり」
「ただいま!」

抱き合う名前と傑を抱き締めて二人の頬にちゅっと口付ける。何で私にもするんだ、と眉間に皺を寄せながらも僕の腰に手を回す傑も愛おしいし、僕は今日も幸せで堪らない。

「ん?呪霊操術も大分馴染んで来たみたいだね?」
「え、う、うん?そう?」
「何動揺してるの?見たらすぐ分かるよ。手持ちも増えたみたいだしね?」
「…悟」
「なに??」
「何体増えているんだい?」
「んー?四?いや、六だね」

はぁぁぁと深過ぎる溜め息を吐いた傑にビクッと肩を震わせながら狼狽ている名前。
何これ?どういう事??
傑を見ると腕組みをしながら悟に説明してあげて。と呆れた顔で言った。

「…呪霊すっごく不味くて」

うんうん。確かに不味いよね。僕も学生時代に傑の奪って舐めた事あるけどまじで不味かったし、不味いレベルじゃなくてこの世のものとは思えない味がするよね。まぁ人のどっろどろの感情が詰め込まれてんだから当たり前なんだけど。

「それで?」
「傑が昔、死ぬ程辛かったけど悟と硝子に救われたって言ってて」

あー懐かしいな。そんな事もあったね。
傑は僕たちの中でもとびきり優しいから世界が許せなくなったんだ。三人で腹割って話して怒鳴って泣いて笑った。傑が此処にいてくれる事を僕も硝子も当たり前の事だとは思っていない。沢山を諦めて手放して僕たちを選択したのを後悔させないように努力しているつもりだ。

「私は一人で抱え込んでしまいそうだからって心配してくれて」
「うん。それは僕も心配だよ?」
「だから…呪霊呑む時は傑の前でって約束なの」
「…傑、六体増えたの知らなかったんだ?」
「綺麗にさっぱり知らなかったよ。悟が気付かなかったらずっと黙ってるつもりだったのかな?」

あーうん。これは名前が百パーセント悪いね。いつもならそんな怒んないでよーと間に入っているけど、これは許される可愛い嘘では無い。

「何で黙ってたんだい?」
「だって……しくて」
「え?なんて?」
「っ恥ずかしいの!傑の前でえずいちゃうのが嫌なの!!」
「そんな事気にしてたのかい?えずくのなんて私の咥えてる時に何度も、」
「っ!!それとは別なの!!」

私硝子に用事あるからと言って医務室の方に走り去ってしまった。

「…そんな約束してたんだ?」
「あぁ。悟と硝子に救われたからね。私は名前に同じ思いはして欲しくない」

鍛錬を始める前に傑と名前は喧嘩した。
呪霊操術は使わず無下限を磨くべきだと譲らなかった。でも彼女も譲らなかった。苦しくてもいいから傑がくれた大切な力を使いたいと泣きながら言った名前に結局傑が折れた。あの後そんな約束を交わしていたとは。
僕に教えてくれてもいいじゃん。妬けちゃうなぁ。

「まぁ、イマラチオしてる名前はクソ可愛いよね」
「それは否定しない」




それで冒頭に戻るんだけど。イヤイヤ言って一向に呑まない名前にそろそろ限界だった。

「悟?なに、っ!!んん"ッ、ぅぇっ…はぁッ」

呪霊を名前の口に押し込んだ。
ゴクリと喉が動いて生理的な涙が見開かれた瞳からぼろぼろと溢れる。その間僕をずっと見上げていてゾクゾクと下半身に熱が集まっていくのを感じた。
傑が噛み付くように口付けてじゅるりと吸う様に舐めた後透明な糸を引きながら離れた。

「心配なんだ。分かってくれ」
「んっ、報告はちゃんとする。でも恥ずかしいからやっぱり、」
「名前触って?僕のこんななってんの。名前の顔見て興奮したんだよ?恥ずかしい事なんて何もないでしょ?」
「え?うそ、でしょ」

名前の手を取って自身を握らせる。何度も触ってんのに顔真っ赤にしちゃってかんわいい。
俯いた名前の顎をクイっと指で持ち上げた傑はそれはそれは、艶っぽく意地悪に口角を上げて見せた。

「本当に恥ずかしいのが何なのか教えてあげようね」

サッと血の気の引いた名前を抱き上げると寝室に消えていった。
傑ガチじゃん。
心配なのは僕も同じだけどねぇ。
まぁ、あの顔を他人に見せたくない様なだけの気もするんだけどそれは気のせいかな?
イヤイヤ言う名前の声が再び聞こえて来て笑ってしまう。
少ししたら僕も混ざろうかな。ぐちゃぐちゃにされるであろう彼女の為にお湯貼りのタイマーを入れる。
傑の怒りがおさまるのと名前の意識が飛ぶのとどっちが先だろうか?
まぁ勿論前者だ。そもそも傑は怒ってなんかいない。名前が黙っていた事が悲しくて寂しかっただけだよ。
もっと僕たちに甘えなよ。


「本当の恥ずかしいってナニしてんのかなぁ?」

今日くらいは傑に譲ってあげようと思っていたけど僕もあんな顔見せられた我慢出来ないよねぇ?無理、やだ、か細い声が聞こえる部屋の扉をゆっくりと開いた。





数日後
えずく名前を優しく愛おしそうに見つめる傑が高専で目撃される。



  
back
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -