仮面舞踏会


「名前は近頃弛んでおるな!もっと組織の為に働きなさい!」
「...お父様すみません。最近邪魔が入って」
「言い訳は聞きたく無い!今日はもう良い。下がりなさい。」

はあぁぁぁぁ。やっと終わった。
何なのこの定例会?必要?
週イチだよ?報告する事とか何かなぁーんにも無いわ。
物心ついた時から参加させられてるけど、こんなに無意味な時間ある?
くっだらない!あぁ〜実家滅びないかな〜。
まぁそしたら私も滅びるんだけども。
子供が産まれる家を選べないって本当。
こんな家に組織に産まれるって分かってたら絶対に避けるルートだよ!
16歳だよ?!華の高校一年生に弛んでるって本当神経疑うわ〜。高校行ってないけど。

「失礼致します。名前様。明日からの任務資料になります。御当主様から直々ですので、どうか次こそは。」
「ご苦労。下がりなさい。」

お父様の家臣が膝を付いて資料を渡して、深々と腰を折って部屋を出て行く。
全くこの平成にどんな時代劇だよ!!
何が次こそは。だよ!!
資料を捲ると対象人物リストだった。
まぁこれくらいなら朝飯前なんだけど、最近邪魔が入って仕方ない。
止まらない溜め息を何とか飲み込んだ。
これ以上幸せが逃げて行ったら堪らない。




「よぉ!またお前かよ」
「こっちのセリフだよっ!」

対象リストに従って今日も今日とて呪術師を殺す予定だった。なのに。
こいつは本当に私のストーカーなの?並に行く先々に現れる。そのせいで6割くらい殺害未遂で終わる。別に殺したい訳じゃないからどうでもいいけど、これ以上風当たりが強くなるのは避けたい。

「ねぇ、貴方時間持て余しすぎじゃない?なんでいつも邪魔するかなぁ」
「はぁ?お前こそ!何?俺のこと好きなの?いっつも現れるじゃん!」

これもお決まりの会話だ。
殺し合いながらなので会話というのかは謎だが。

「出来損ないの雑魚が!」

あ、それは良くないね。言っても良い事と悪い事くらい分からないかな?あ、中身小学生だもんね?知らなくて当然か。

「お前が居なかったら、こちとら世界最強だったんだよ!」
「はぁん?俺が生まれなかったとしても、んな事天と地がひっくり返ってもあり得ないね!」

そう、私は無下限を持って産まれて来た。六眼を持たずに。言葉の通り出来損ないです。
呪詛師一族も忘れるくらいに、気が遠くなる程遡れば五条家にたどり着くらしい。
根っからの呪詛師の両親はそれはそれは喜んで私の生誕を祝う宴を何日も開いた。
その一週間後。五条悟爆誕!
私の目も蒼くてそれらしいが六眼とは全然別の物だったのでそれからの掌返しは凄まじかったらしい。
テンプレ通りの能力=最強って古く無いですか?違う眼でしたけど、こちらも色々試行錯誤して五条悟に殺されず逃げて帰れるくらいには強いんですけど?
あぁぁぁ本当実家滅びないかなぁ?

「五条悟」
「何?」
「ウチ滅ぼしてくんない?」
「...別に良いけど。お前はどうすんの?」
「海外にでも逃げようかなぁ」
「俺から逃げれると思ってんの?ウケるんですけどー!」
「五条悟のその人を見下した態度、ほんっとーに気に食わないんですけどー!」

互いに肩で息をしながら罵り合う。ここまでがお決まりのパターンです。

「なら、今日もこの辺でお暇しますね」

頭の中で逃走ルートを計算する。
よし、飛ぼう。

「ちょっと待てよ」
「...何?まだ何かあるの?」
「俺今日、誕生日なんだよね。」

はぁぁん?!んな事当然の周知だろーが!
五条悟爆誕の件、何回聞かせられてると思ってんだ!!

「だからさ、誕生日プレゼントくれよ」
「はぁ?」
「お前の名前、教えろよ」
「はぁ?!」
「お前それしか言えねぇーのかよ」
「...五条悟は私の名前聞いて何になるの」
「その五条悟ってのもやめろ。悟でいい」

え?ちょっと待って。耳赤くないですか?

「悟?何なの?私の事好きなの?」
「...好きって言ったら?」

五条悟は耳どころか顔まで真っ赤にして俯いた。きゅん。え?何?マジ?可愛いんですけども?!

「何か言えよ」
「...名前」
「え?なんて?」
「だ、か、ら!私の名前!」
「名前...名前ね」

名前噛み締めてるんですけど!?きゅん。

「...実家潰してやるから、俺と一緒に来て」
「.......考えとく。」

私は飛んだ。すぐ様飛んだ。
五条悟改め悟。最強すぎる!!!!







  
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