「いっずみ君!」
「うぜぇ」
「口悪いなぁ」
「用件は?」

今日の泉は機嫌が悪いみたいで、邪険なオーラを身に纏っている。

「用件、ていうかねー…」
「早く言えよ」

はっきり言おう。すっごく言いにくいんだこの状況。

「やっぱ言わない」
「言えよ!」

そんな大声出さなくても、思った時に田島君に呼ばれた。そのおかげで泉の黒いオーラは益々濃くなった。

「今泉に話し掛けちゃダメだよ」
「何で?」
「実はなぁ〜…」

田島君から聞いた泉の不機嫌の理由はどうやらあたしみたいで

「…あ、」

機嫌が悪い理由は泉に話そうと思ってた事。まさか話す以前に見られてたなんて…。

「い〜ずみ〜」
「なんだよ」

泉の所に戻るとさっきよりはオーラがなくなったけど、力ない感じ。

「あたし、泉だけだよ」

隣のクラスの子に告白される所、見ちゃったんだね。

「分かってるけど…」
「不安?」
「別に」
「嘘吐きー」
「なつがオレの事好きなのはオレが一番知ってるから」

なんて上からな発言。
事実なんだけど。

「じゃあ元気だして」
「チューしてくれたら元気出るかもな」
「……しょうがない」


右頬に口付けを
今はこれだけ、ね

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「見えない臓器の名前は」
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