ごめんねと
ありがとうと



「ここまでで大丈夫」

見慣れた駅の改札口。いつの間にかここが待ち合わせ場所になっていた。それが今日、終わってしまう。

「なんか、ごめんな」
「勇人が謝る事ないよ。あたしも悪かったし」

学校が違い、部活もしていればすれ違いは増え、二人の合う時間はなくなってしまった。

「野球頑張ってね」
「…ああ」

何か上手い事を言いたいのに、言葉は浮かんでこない。

「電車、来るから。そろそろ行くね」
「分かった」

あたし達の関係は呆気なく終わる。本来なら今日は一年記念日なのに。そんな日に限って別れ話。

「…じゃあね」
「うん」

まだ勇人の事好きなのに、別れたくないのに、こうするしかないのはあたし達がまだ子供だから?大人になれば少しは違う結末だったの?


後ろを振り返るのを堪え沢山の人を掻き分けながら、あたしは周り気付かれないように少しだけ泣いた。


さようならを
幼すぎたあたし達へ



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