君に名前を呼ばれるたびにオレはこの世界に生きている事を実感する。
「ラビ!」
「なつ……?どうかした」
息を切らし、オレの所に来るなんて珍しい事じゃないけど、毎度の事ながら何故か嬉しく思う。
「次の任務、あたしとラビ一緒だって」
「マジ?」
なつとは意外と一緒に任務を遂行した事がない。でも、教団内じゃ一番話せる相手。
「じゃあオレがなつを守ってやるさ」
「ふふ、ありがとう」
なつは笑ってるけど、オレは結構本気だったりする。イマイチ伝わってないみたいだ。
「何か遠い場所で、結構其処に居るみたいだから早めに支度しなきゃね」
「うえ〜、面倒だなー…」
でも其処になつがいるなら…
「頑張ろうね、ラビ」
【ラビ】は本当の名前じゃないけど一番気に入ってる。それはなつが呼ぶからであって……。
「おう!」
時々、【ラビ】という名前が本当の名前だと思ってしまう事がある。何度かそれが本名ならいいなと思った。でもそれは偽名だから嘘を吐いてる様で悲しくもなる。
なつがオレの事を呼んでくれるのなら、名前なんて何だっていいんだけど。
好きだけど、オレじゃ君を幸せにする事は出来ない。だけど、いつか君の事を幸せにする奴が現われるまで、オレが君を幸せにする。
君がオレを呼び続ける限り……
オレは此処にいるから
君がその名前を呼ぶなら