もう早い子は進路が決まって、残りの高校生活を楽しく謳歌してるんだって。今のあたしは「羨ましい」しか出てこない。

「純はさー、どうするの、進路」
「あ?進学するつもりだけど」
「ですよねー」

進路希望調査の紙には自分の名前しか書いてない。このクラスで提出してないのはあたしだけらしい。こんな紙切れ一枚に自分の未来を委ねたくない、なんて。

「早く書けよ」
「なんてー?」
「……」

第一希望も第二希望もあるか。何も考えずに過ごしてた去年とか、楽しかったなって思っちゃう。

「受験終われー」
「その前に学校決めろ」
「…………」

純はどこの大学に行くんだろうか。そういえば、知らなかった。

「純はどこ行くの?やっぱ野球強い所?」
「まぁなー」

一緒の大学に行きたいって言ったら迷惑だろうか。縛りすぎかな…。

「あのさ、お前さえ嫌じゃなかったら」
「何ー?」

用紙の端に落書きをしていた手を止める。

「……同じ大学、行くか」
「え………。いいの?」
「まぁ、うん」

顔は下向きだけど、照れているのが分かる。嬉しいのは同じ事考えていた事。

「行く!あたし純と一緒の大学に行く!!」
「おう。じゃあ、とりあえずお前の場合は勉強しろよな」
「え」
「意外と頭いい学校だからな」
「……受験終われー」

これからも純との楽しい学生生活を過ごす為なら勉強だってなんだって頑張れる自信がある。あたしは愛があればなんだって出来るんだから!



嗚呼、薔薇色の日々よ







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