「お前間違えすぎ」
「分かんないんだもん」

まさか英語で追試を受ける羽目になるとは思わなかった。今回頑張って勉強したのに。

「スペルミスばっかじゃねーかよ…」
「そんな事……」

よく見ればaがeだったり、lがrだったり惜しい所でミスしてる。

「ちゃんと見直せよ」
「うっさいなぁ!」

英語だけは何故か出来る一也が憎たらしくてしょうがない。

「一也なんて英語だけじゃん!!」
「なつは英語も出来てねーじゃん」

追試になったのは英語だけ。他のはギリギリ追試を免れた。

「一也の事考えてたから頭に入らなかったの」
「はっはっはっ。苦しい言い訳だな」
「むかつく!」

本当の事だ。毎日頭の中は一也で一杯。あたしどうかしちゃってる。

「休み時間少ねぇんだからちゃっちゃと問題解け」
「はぁい…」

貴重な休み時間に勉強するなんて。放課後無理なのは分かってるけど、何も今しなくても!

「じゃあ、次これ訳せ」
「どれよ?」

プリントには訳す問題なんてない。と、思ったらシャーペンを取り英文を書き出す一也。

「えーと、うぉん……」

いくら英語が出来ないっていっても、それなりの単語は理解している。
これは…………。

「早く訳せよ」
「………っ」

ニヤニヤ笑ってる一也を叩いてみたが、内心、嬉しくて仕方ない。若干、気が早過ぎるけど。


“Won't to marry me.”


あたしはその横に小さく“Yes”とだけ書いた。



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