目が覚めたら見知らぬ天井が視界に入った。朱塗りに黄金の柱。いかにも金持ちの家って感じだ。センスがねぇ所が。
「やっと起きたのね」
「!!!?」
誰だ、この女。やたら色っぽいというか艶っぽいというか。妖艶な香りが…。あれ、でも昨日のバーにいたような……。
「最高の夜だったわ」
「!!!???」
よく見りゃあ俺裸じゃん!え、何で?どういう事?こんなのなつにバレたら殺される!!
「こんにちはー」
うぉおい!なつの声してんじゃねえか!早くも本人登場?どうする、俺!!
「よ、間男」
「は?」
間男っつー事は、この色香バリバリの女は人妻?……それはそれで燃える。じゃなくて!!なんでなつがいるんだよォォォ!
「やっぱなつちゃんの彼氏だった?」
「奥様は相変わらず若い男に手ぇ出しすぎですね」
なんだこの二人。知り合いなのか?状況が飲み込めてない俺は一人だけ裸でポカンだよ。
「さ、銀時。着替えて帰るよ」
「お、おお……」
着替えて、馬鹿デカイ家っつーか屋敷を後にした。ただなつの顔が直視出来なくて先を歩く。怖くて顔見れねんだよ。
「あたしね、ちょっと前にあのお屋敷で女中してなんだ。だから奥様の事知ってたの」
「へぇ〜…」
女中かぁ……て事はメイド服だよな。なつにメイド服なんて似合いすぎ………っと、こんな事想像してる余裕はないはずだ。去れ、煩悩!
「だから、奥様がどんな人かも詳しいよ。前は土方さんだったし」
「へぇ……ってぇええ?」
「旦那様も旦那様なんだけどね」
なつが何を伝えたいのか分からないが、振り返れないし、何より泣いた後の顔を見ると心が痛む。
「……なつ、すまない」
「………」
今の俺は謝る事しか出来ない。酔った勢いで、なんて一番最低な理由だ。
「俺はお前だけだ」
「……うん。じゃあさ、次やったらアンタのピーをピーしてピーと混ぜ込んでピーしてやるから」
ピーばっかじゃねぇかァァァァ!規制かかりすぎだろ!!え、何?最近の女の子ってこんな怖い事言うの?
「肝に銘じておきます」
若干小声な俺。別にビビってるわけじゃないぞ、決して。ただちょっとびっくりしただけだから!
「そうして」
俺の前に回り込み、最高の笑顔を見せるなつ。可愛いんだけど、逆に恐怖感じるのは気のせいですか?
笑顔の裏側
(いや、もう笑顔って言えねーよ、ソレ)