君は帰ってしまった
甘い甘いお菓子の国へ


「Lという人間がいます」
「はいはいそれで」
「Lはなつが大好きで、毎日愛してやまないといいます」
「…………」

ずるい。Lはそうやって答えが面倒になるとすぐシカトする。今日は五回も黙り込んだ。

「なつ、勘違いはやめて下さい」
「勘違いって?」
「私はなつの事を女として見れません」

この会話の下り何回やったか分からないくらい。あたしはこの下りをLの愛だと受けとめていた。だって好きじゃなかったらあたしの事なんてさっさと見捨てるもの。

「Lは不器用ね」
「恋愛に対しては」

同じ事しか繰り返さないあたしの馬鹿に付き合ってくれる、そんなLが大好きだった。



ある日突然連絡が取れなくなって、月日は流れ気付けば五年。人間てのはなかなか忘れられないもので、今もまだあたしの中にLの想いがある。

甘い国の住人は、あたしに何も言わずに行ってしまった。

せめて、さよならくらいは聞きたかったのにそれすら聞けないのは頂けない。


SWEET LAND


手の届かない国
パスポートはいらない
だけどあたしは行けないや

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