朝、いつものように飼っている金魚に餌をあげようとしたら金魚鉢に一つ、紅が浮いていた


この金魚は土方さんと縁日で一緒にとったもの。
最初は紅と黒の金魚がいたけど黒の金魚は先週で死んでしまった。

ふと思い出す、「黒が俺で紅がなつ」そんな事を彼は言っていた。それが嬉しくて大事に育てたつもりだったのに、死は突然やってくる。

「…寂しかったの?」

黒い金魚が死んで独りになった紅い金魚。
あたしも、もうどのくらい土方さんに会ってないのだろう。真選組が忙しいのは知ってるけど、連絡一つ寄越さないのは不安になる。彼らしいといえば彼らしいんだけど。

「…寂しいよね」

語り掛けるように涙を流す。答えは返ってくるわけないのにどうしても声に出したくて、出さなきゃいられなくて。

いつもなら耐えられる孤独も今日ばかりは無理みたい。
それは金魚が死んだから、それとも………。





金魚を鉢から出すことが出来なくて金魚は静かに腐敗していく
あたしはただそれを見ていた
見てるだけだった


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