屯所の一室で土方はういと向かい合っていた。時刻は夜の十一時。まだ十七歳のういからするとだいぶ遅い帰宅時間。歌舞伎町も近いこの辺りをこの時間まで出歩いているとなると心配も尽きない。
「このままじゃ、門限付けるしかないな」
その言葉に明らかに不貞腐れるうい。連絡をもらって真選組の誰かが迎えに行く。基本的にルールはあるものの年頃の子どもが守れるわけもない。
「……何で、こんなに遅くなったんだ」
「……楽しくて、時間忘れてました」
土方は立ち上がり、ういの頭をポンポンと優しく叩き、「次から気をつけろ」と一言。そのまま部屋を出ていった。
本当はもっと言って聞かせたい所だが、言っても逆効果だろう。
「あぁー」
やり場のない思いを抱えながら、土方は悔しげに頭をかいて、一度まだういがいる部屋をチラリと見る。
もう一度顔が見たいという思いを堪えながら、自室へと足を進めた。