小説 | ナノ


▼ 優しい傷跡

乾いた音が部屋の中で反響した。
ジン……と赤くなった頬にコラソンが優しく触ると、怯えた瞳でローが視線を逸らした。
ローの細い体には、疎らに青痣ができており、切れて血が流れてしまっている箇所もある。
「ねぇ……コラ、さん……い、てぇよ……」
わざとコラソンが内腿の痣を力強く押すとローの口から小さい悲鳴が零れた。
「やだ……っイ! あ、っアァ!」
ぐちゅりと淫猥な水音をたて、コラソンの熱棒を容易く飲み込んでいく秘部は、ぎっちりとそれを咥えている。一分の隙間もなく、軽く上下に動くだけで、粘膜が擦れる痛みがローの腰に走る。
「やぁ、ッ! いた、ッ……ぁ、あ……い゛だ、……ひっ……!」
喘ぎ続けてガラガラになりかけた喉で軽く唾を飲みむと、じんわりと痛覚を刺激した。
そのままコラソンがピストンを続けると、快感から逃げようと、ローの腰が仰け反った。
「コラさッ……ひぁッ! やめ、ッて……ぇっ!」
涙やら体液やらでグチャグチャな顔で懇願するも相手は全く聞いてはくれなかった。
より奥の、ローの弱いところを抉り押す。
「あぁああッ! そこ、やらッ! や、ヤぁ、っああぁあ!!」
ビクビクと全身を痙攣させるローの首筋へ、おもむろにコラソンは顔を近づけると、柔らかい肌に歯を立てた。
「ひっ、いだッ! いて、ぇよ! コラさっ! ぁ、や、……許し、て!」
引き剥がそうにも、ローの腕は背中で硬く縛られており、抵抗するにも身をよじるしかない。それが逆に、自ら肉を引きちぎる行為となり、返って傷が酷くなる結果となった。
「う゛あっ!! い゛ぁ、ンんッ、あッ!」
ようやく口が離され、銀色の糸が尾を引いてコラソンの唇に繋がった。ローの白い肌に、くっきりと綺麗な歯型が血を滲ませながら彩っていた。
そしてまたしてもローの頬をーー先程とは反対側に張り手を喰らわせる。
口元に垂れてきた液体を舐めると鉄の味が広がった。あんまり何度も叩いたから鼻の血管が切れてしまった。
一瞬、それに戸惑った様子をみせたコラソンだったが、すぐに挿出を再開する。
肉と肉がぶつかる音がする度、ローの先端から先走りが零れ、ピクピクと脈を打つ。
「っは、ぁ、あ……や、ぁッ! っぁ、ァ、ア、ア!」
下腹部の焼けつくような痛みと、それを上回る快感が脳に強烈なシナプスを送ってくる。
「い゛、ン、ぁ……なん、で…ぇっ……!」
半分泣きながらロー訊いた。
「な、んで……こんなッ、こ、とっ!」
コラソンは、ずるり、と散々ローの中で暴れていた楔を引き抜いた。それをもう一度、窪みに当てがうとーー勢いをつけ、打ちこんだ。
「ーーッ!!」
声にならない絶叫が部屋の中を支配する。
意識が弾け飛ばされそうな激しい快楽と律動の中、必死にシーツを握りしめる。
「あっ、あ、アァッ! もっ、ダメッーーーーン、ァアアァッ!!」
狂いそうな絶頂に震え、余韻を貪るかの如く、ローの下腹部がコラソンのモノをひくついて締め付けた。
とろけきってうな垂れたローの顔を覗き込み、微笑みながらコラソンは優しく言った。

「お前が望んでるからだろ」

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