第6弾 いたみ ▼笹倉さま するどくない方がずっとつらかった 泣いてないから大丈夫 ずくずくと熟れた恋は狂いそうな熱を孕んでいる ただ心臓の形に沿ってカッターでなぞるだけの簡単なお仕事 あなたと彼女の赤い糸を引きちぎる代償として 昨日抜いた産毛のことを思いだせば胸がはりさけそうなことなんかは小さなことだと錯覚できる (まだ末期じゃないよ) ▼逢坂さま きれいなものほど褪せていく 割れ物に限って砕ける とがった言葉で僕が死ぬ 傷などついていないくせにどうして 散り際の美学 ▼朔凪さま 君を思えば、ひたりひたり 熟れすぎた果実 ひとりぼっちの夜に、君は あぁ、生きてるんだ、って思えるから 快楽に変わる 涙さえ出やしない 左腕の朱 あなたには見えないでしょうねぇ 抉る刃先に爪をたて じくじくと膿を孕む ▼綾崎さま 痛み 傷み 妬み キズモノですと言えますか 割れ物注意報 足元に転がった傘と握られた拳 今日が雨で良かった 心の傷みはセオリーだと 噛み付いた唇の液体 掻き混ぜる裏 クロロホルムの睡眠 貴方が欲しかった もう、良いんだよ、本当に 赤頭巾はこんな気持ち 林檎と、飴と、鞭と、無知が、 揺れる体に触れる事は 君に恋して傷みを知った。 痛みが味方、君が好き。 愛すれば、痛み等関係無い 痛みがあってこその恋 ▼さきはさま 淡く疼くあたたかな鋭さに 引き裂いてみませんか いたいのはきらいです 君だからなんだ そうか、これが ▼鯖猫さま 他人には知れない、僕にも見えない。 抱えて大きくなるんだってさ くそ食らえよ恋心 飛んでいけ飛んでいけ、見えない遠くの方にまで。傷を付けたアイツまで、飛んでいけ飛んでいけ。 枝毛を切り落とすみたいに 泣いてもどうにもならないの 楽園から来る怒り 価値が落ちるの 女には産みの苦しみを すべては知恵の代償でした ← |