「〜ッ!ダメ!もう無理!
ウェザーッ!近い!!」

「…え?」


話をする時は、口を開かないで、顔を近づけてどアップでしゃべる。
それが彼、ウェザーの癖。
背伸びして、つま先で歩くのと並んで、私が好きな彼の癖でもある。

が。

私は彼と話すとき、今まで黙っていたし我慢していたけれど…
今日、いま、この瞬間。
我慢の限界が来た。来てしまった。

しかし、だ…彼の顔が遠ざかる事はなかった。
むしろ首を傾げるので逆に近い!!


「だから!ち、近いの!かッ顔が!」

「近い…?
…ああ。よく声が小さいと言われるからな」

「え?い、いや、うん…そうなの…
じゃ、なく、て。」

「名前、近いのが嫌なのか?」


なんともまあ予想外な質問。
てかさっきよりむしろ近くなってる気がする、気のせいかな?


「あ、え、や、嫌じゃあないけど。
て…照れるって…いうか…」

「…じゃあ、おまえは…
俺の事、男として意識してるって事だな?」

頬を大きな両手で包まれた。ウェザーの真剣な瞳に、呆然とした私が写っている。

………えっと、つまり

「えッ、あ、い、え、それは、」

「なら良いな。こっちのほうが、」

話についていけなくて、でも顔が熱くなるのはわかって、ウェザーの顔がまた近くなったかと思えば、唇に柔らかいものが押しつけられた。
今までのどの距離よりも、一番近くのウェザー。

「すぐキス出来て良い」








なまあたたかい吐息