「なぁ、えくすわいやって何だ?」


「エクスワイアだよ」


「えくすわいあ?」


燐が不思議そうな顔をしているとしえみが答える。
私もよく分かんないけど、雪の説明を聞いているとなんとなく察しがつく。つまりこの合宿でこの取得希望の称号の候補生になれるよう頑張るらしい。


燐は何となくしえみをチラ見したあと、私を何か言いたそうにじっと見てきた。が、何か思い出したような顔で席を立っていった。
おそらくこの前勝呂君に言われたのが心に引っかかっているのだろう。

ああ、我が弟ながら真に馬鹿だ。しえみが悲しそうじゃないか。
でも、しえみもこれを機会に燐や私や雪から離れようと頑張ってるみたいだし…私は口出ししない方が、良いの…かな。


「…さん、姉さん。」


聞き慣れた声に呼ばれてハッと気が付くと、目の前には雪が座っていた。


「ゆ、雪!!?ど、どうした!」


「どうしたもこうしたも…取得する称号、決まったの?」


溜め息をつきながら眼鏡を押し上げる雪に言われ、私は急いで用紙を見る。
其処には合宿に参加するか否かと、見慣れない漢字の羅列。…どうやらこれが噂の称号とやららしいが何が何やらサッパリだ。騎士とか竜騎士とか。


「…えーと」


「騎士が刀剣で戦う称号、竜騎士が重火器で戦う称号、手騎士が使い魔を召還して戦う称号、詠唱騎士が聖書や教典を唱えて戦う称号、医工騎士が仲間の傷を癒やす称号…だよ。」


「わ…わかりやすい説明ありがとう」


「ちなみに僕は医工騎士と竜騎士を取ってあるから…」


「私はそれ以外ね、なるほど」


「いや、それ以外とは言わないけど…何で?」


「だって同じじゃ雪や燐の事支えられないでしょ。」


「………………」



なんか知らないが雪が顔を赤くして黙ってしまった。
とりあえず私は……


「雪を支えられるし、騎士と詠唱騎士かな。」


「……そうか、騎士と詠唱騎士か。うん、なかなか良い選択肢だと思うよ。」


「でしょ!」


「でも多分兄さんとカブってると思うよ。特に騎士。」


「えーそんなまさかあー」


「それにその分両方取るのは辛いよ?」


雪は困ったような笑ってるような表情でそれでも良いの?と問う。


「勿論じゃない。愛する弟の為なんだから。」


「……どっち?」


「うふふ、どっちも」


「そう。」


私が笑うと雪も優しく笑った。祓魔師になっても、先生になっても、やっぱり雪は雪だ、とこういう時思う。


「……姉さん。」


「ん?」


「…有難う。」


「?どういたしまして!」








守りたい人の為に
(おーい、雪男!書けたぞー!)(あっ、本当にカブってる!!)(は!?…マジで!?)(…やっぱり)