「プルツー!調子はどう?」


いつもみたいに険しい顔をしてサイコガンダムMk-Uを睨んでいるプルツーを呼び止めると、彼女はこちらを見て柔らかく笑った。


「ああ、お前か。調子は良いぞ。今はあの気持ち悪いのもない。」


「そう、良かった良かった。」


私が安心し、鮮やかな橙色の髪を撫でるとプルツーは嬉しそうに目を細めた。

彼女はサイコの為に造られた強化人間であり他人には心を開かないのだが、最近私には懐いてくれた。
よく分からないけど、きっとそれは私が彼女を愛しているからだと漠然と思った。
(そうすると必然的に戦場等で彼女を助けたりするから)


「お前が側にいると、気持ち悪いのがすぐに無くなる。――不思議だ。」


「フフッそれはね…きっとプルツーが私を好きだから、かもね。」


「好き?愛という意味か?」


「うん。その人を見ると安心したり、でも心がざわめいたり。」


プルツーは首を傾げた。大きな瞳を白黒させながら私を見つめる。


「お前は、私が好きか?」

「うん、大好き。大好きだよプルツー。」


素直に答えると彼女は頬を赤らめてはにかむ。


「なら私もお前が大好きだ。愛がある。」


「ありがとうプルツー。私も貴方を愛してるよ。」


「うん、こんな時は、愛してるって言うんだな。覚えたぞ。」


「うん。」


頭を撫でていた手を止めそっと退けると、プルツーは私の胴に抱きついてきた。
きっとまた本かなにかで好きな人には抱きつく、とか覚えたのかな。


「なぁ、名前。」


「なに?プルツー」


と、プルツーの背へと手を回すと、次の瞬間プルツーがいきなり近くなる。

そして、唇で小さく音がしたのち暖かい何かを残してまたプルツーは元の位置に戻る。

ま、まさかこれ、


「ぷ、ぷ、」


「本に好き同士は唇と唇をあわせてちゅーするんだって書いてあった。」


「えと、えと、プルツー…」


「?違うのか?」


「ち、ちがくない、けど」

と、その時。
入り口で凍りついたように固まるグレミーが視界に入った。丁度アレなタイミングで入ってきてしまったようだ。
まあ無理もない。だって私とプルツーが…キスしてたんだから。


「あ、あのね、プルツーよく聞いて。ちゅーってのはね、普通異性がするものなの」


「そうなのか?」


「う、うん」


「じゃあ、私はお前にちゅーしちゃ駄目だったのか?」


う。
途端にプルツーが表情を曇らせた。どうしよう。


「いや、私は…私は駄目じゃないけど」


「なら、関係ないじゃないか。好き同士にそんなの関係ないだろう?」


……プルツーは、私と付き合い始めてから本当に変わった。
確かにそんなのは関係ないよね。何を言っているんだろう。


「…そうだよね。ごめんね、プルツー。」


お詫びの変わりに、今度は私から唇を落とす。
プルツーは、喜ばしげに笑いまた私にキスをする。
しばらくの間、私達はメカニック室でいちゃついていた。


正直、グレミーには悪い事をしたと思っている。










私の可愛い女の子!
(だって私には貴女しかいなくて)(貴女には私しか居ないのだもの)(愛が有れば良いよね)