「は″ーら″ーい″ーた″ーい″〜〜………」


不覚。
ある朝、私を超絶的腹痛が襲った。
折角ホテルのみんなが心を開きつつあるんだから今からが勝負所なのに!(ストーカー的な意味で)

嗚呼、痛い。真面目に痛すぎ。ウイルス的な感じ。


………………心当たりと言ったら、少年から貰ったピーナッツとかシェフのアレな料理とか、結構有るんだけど。


(………………私、死んじゃうのかな)


健康体の人ほど一度こういう状態になると極端にマイナス思考になると聞いたことがある。まあ今の私なんだけどね…。



―――コンコン。

こんな時にノック。
まあ誰よりも早く起きる私が朝食もサボるなんてとても珍しいのだから仕方がない。


「………誰ー……?」


私は横たわったまま力なくドアの前の人物に問い掛ける。
こんな時に来るのはKY野郎の審判かジェームスか。


「………大丈夫か」


ガバッ、とダルかった筈の体が反射的に飛び起きる。
地を這う様な低いドスのきいた声。間違いなく………


「シェっ……っ痛!」


「……酷いのか?」


今までに見た事ないくらい眉を下げて心配そうな顔で、ドアを開け部屋へと入ってくるシェフ。
見ると何か料理を持ってきたようだ。


「あ………おかゆ………」


「グレゴリーに聞いた。お前が腹が痛いと煩いと。食え。」


「………ありがとう、ございます。」


一口食べると普通のおかゆ。美味しい。
シェフって怖いけどこんなに優しいんだ。感動しちゃった。


「………心配した。明日は元気になれ。」


「は、はい…。」


「………………。」


「………………。」



「………あの……戻らないんですか?」


「お前、心配。だから」





「朝まで、側にいる事にした」
(変だな)(感動は段々と)(恋心に変わっていった)