世間一般は正月である。
ここ、奥州青葉城も新年に浮かれていた。
「おい小十郎、餅はどうした」
「先程も召し上がったはずですが」
「Ah?それは猫の分だぜ」
「政宗の嘘つき!俺はまだ食べてないのに!」
政宗の胡座の上、俺こと名前は大声を上げた。
「OK、小十郎。何故だか俺の餅も名前の餅もどこかに消えちまったらしいぜ」
「ううう政宗食べたじゃない…むぐ」
政宗に口を押さえられて声が出なくなる。
政宗またずるして餅を食べる気だぞ。
「しようのない。また焼きますから、待っていてください」
「そうこなくちゃな!小十郎、お前は良い右目だぜ!」
「そういうときばかり勝手を仰る」
はあ、とため息をついた小十郎様が消えて行き、部屋には政宗と俺。
「次は雑煮がいいな、名前」
「俺まだ一個も食べてないよ!」
「Rearry?手が遅いなcat…」
「政宗が早いんだよ…」
「じゃなきゃ筆頭は勤まらねえのよ」
「はいはい…」
俺もため息つきたくなっちゃったよ、小十郎様。
「名前」
「むー…?」
政宗に呼ばれて顔を上げたら、何故かこの男俺の視界をジャックし始め……って!
「そそそうゆーのやめろって言ったあ!!!」
「さあな」
にやにやと笑う奥州筆頭伊達政宗。
俺が名だたる剣士なら、こいつの寝首を一番に取ってます。
「いつもお前は不機嫌になる」
「当たり前でしょーがいきなりするんだもの」
それに男同士ですよ旦那。
「じゃあ許可取ったら良いのかcat」
「そういうんじゃないの」
わかんないかな。
つん、と唇を尖らすと、政宗がまた何やら手を伸ばしてきた。
反射的に目を閉じたら、クスクス笑われる。
「…政宗」
「Sorry…Sorry」
流暢な英語で謝られ、顎を支えられて二度目。
なにいっても聞きやしないので黙っておいてやるのでした。
fin,
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