09 心臓に爆弾


 宇髄は表情を厳しくした後、ゆっくりと義勇の上から退いた。
「宇髄……?」
「義勇、今日は……止めるか。俺の痕をそんなにしたってことは、それだけお前はいやだったってことだろ?そんなお前を抱くなんて、できねえよ。……俺、シャワー浴びてくるわ。ま、今日は一緒に寝るだけで」
「宇髄、待って……これはっ、その、違うんだ!いや、違わないけどでも、今はっ……宇髄!」
 宇髄は振り向くことなく、さっさとベッドから離れて歩いて行ってしまう。義勇は素早く着ていたカーディガンとTシャツを脱ぎ捨て、上半身にはなにも身に着けていない状態にし、宇髄の腕を引く。
「聞いてくれ、違うんだ!これはそれだけお前への想いが強かったってことで、だからっ……」
「離せよ、腕。その傷が治ったらな」
「宇髄!いいから、ちょっと足を止めてくれ。止めて、聞いてくれ!っ……宇髄!!」
 しかし、宇髄が止まることなく浴室に通ずる扉を開けたところで義勇は後ろから宇髄に飛びつき、無理やりに首を傾けさせ、強引に唇を奪った。掠めるだけのそれだったが、宇髄を驚かせるには充分だったらしい。
「ぎ、ゆう……?」
「俺……おれ、宇髄のモノになる。身体も、心も宇髄にあげる。そしたら、こんな俺でも少しは自分のこと、大切にできるような気がして……だって、宇髄は自分のモノが傷ついたらいやだろう?だから、俺は宇髄のモノになりたい」
「それ、意味分かって言ってんのか。ちゃんと、自分の中で消化して出た結果がその答えか」
 こくんと義勇は頷き、ぎゅっと宇髄に抱きついた。
「初めは……宇髄が俺を宇髄のモノだって言い切った時、すごくいやだった。俺は俺のモノだって、そう思って反発したけど……でも、改めて宇髄の腕の中に入って分かった。本当の幸せの場所は、ここなんだって。寧ろ、ここにしかないんだって、失いそうになって初めて分かった。俺の幸せは、宇髄の腕の中にある」
「義勇……」
「だから、早く宇髄のモノになってしまいたい。心はもう、宇髄のモノだから……だから、か、か、カラダ、身体も早く……宇髄の、モノに」
 なりたいと、そういう前にずいずいと宇髄が迫ってきて、義勇の足は自然と後ろに動き、何かにつっかえそのまま転ぶとそこはベッドの上で、足の間に宇髄の足が入りずいっと顔を寄せてくる。
「本当にいいんだな。何度でも聞くぞ。後々、後悔したなんて聞きたくねえからな。だから、これで本当に最後にする。俺のモノになりたいって、本当だな?その意味、ちゃんと分かって言ってるか」
「わ、分かってる。ちゃんと、分かってる。過去の話したのも、宇髄に俺のことを分かって欲しかったんだ。それでも宇髄が俺のことを好きでいてくれるなら、俺は宇髄のモノになろうって、そう決めてて、だから……身も心も全部、宇髄のモノにして欲しい。抱いて、欲しい」
 宇髄はなにも言わず、首元に顔を埋めてきたと思ったら大きくそこを舐められる。三度ほど舐められたところで顔を上げた宇髄は、思いの外、真剣な表情をしていた。
「分かった。……じゃあ、お前の希望通り、抱く。……多分、お前が思ってるよりキツイと思う。触られたくないところとかも触るし、寧ろ俺だから触られたくないところとかもある。そういう覚悟、できてるか」
「……宇髄には……なにも隠したくないんだ。暴くことのできる場所があるのなら、暴いて欲しいし、宇髄だから。相手が宇髄なら、俺はなんでも許せる。というか、暴いて欲しい。俺でも知らない、俺のこと……もう、会話はいい。話なんかどうでもいいから、早く宇髄のモノにして。ずっと、待ってるんだぞ、俺」
 義勇はきゅっと宇髄の肉のない頬をきゅっと抓る。そしてほんのり笑んでみせると、じわっと宇髄の顔に欲情が滲み出る。
「痕……つけていいか。新しい、俺の痕。俺のだっていう、痕」
「もちろん、いい。いくつだって、つけていい。たくさん、つけて……」
 義勇は自分で胸をさらりと撫でると、その手は宇髄によって退かされ、心臓のちょうど真上辺りに唇が乗り、ぢゅっと音を立てて吸われる。
「んっ……!あっ……!」
 続けざま、何度も胸に吸いつかれ、たったそれだけでも息を乱してしまう義勇だ。唇が肌に当たるたび、宇髄のサラサラとした髪に手を入れつい掻き混ぜてしまう。
「んんっ……あ、はあっ……は、は、はっ……」
 そのうち、宇髄の大きな手が義勇の上半身を這い回るようになり、緩いカーブを描く腰を撫でられたり、手にかいた汗を擦り付けるように腹を撫でたり、肩甲骨のラインを指でなぞったりとなんともいろいろと忙しい。
「義勇、オマエの肌、すっげえ気持ちいい。手に吸いついてくるみたいな感じがして、いいにおいもするし……なんか、これだけでも感じる。手って感じるんだな」
「し、知らないっ……は、はあっ……でも、俺も気持ちいい。宇髄に触られて、気持ちいい。俺も触りたい。やり方知らないけど、でも宇髄に触れたい」

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