(2011.08.28)
※アストラル様が変

クラスメートの遊馬君に付いてるアストラルだか言う幽霊みたいな奴が、何故か私にも見える。それをある日遊馬君に伝えたら、「良かった!俺以外にも見える奴がいたんだな!」と凄く喜ばれた。そして遊馬君にしか存在を確認して貰えなかった事が寂しかったのか、私の存在はアストラル本人にも喜ばれたようだった。

それ以降、アストラルはちょくちょく遊馬君の元を離れては、私の所にもやって来るようになった。まぁようするに、私はアストラルになつかれたのだ。


「なまえ、なまえ」

「なんスかアストラルさん」

「君と私は恋人だろう?」

「……はい?」


なつかれただけだと、そう思っていた。いや、え?恋人?何で?というか、突然こんなことを言ってこの人は、恋人という言葉の意味をちゃんと理解しているのだろうか。いや、多分していない。だって分かっていなかったら、恋人に至るまでの仮定をすっぽかしたりはしないはずだ。


「えっと、いきなりで訳が分からないんですけど……アストラルはあれかな?友達って言葉と恋人って言葉を勘違いしているのかな?」

「私は勘違いなどしていない」

「うわ駄目だこいつまったく分かってねえ」

「分かってない?分かって無いのは君の方だろうなまえ」


そう言ってムッとするアストラルは、年相応(?)に見えて少しかわいっ、じゃなくて……。何でムッとされなきゃならない。分かって無いのは私の方?いやいやこの人は一体何を言うか。


「だって、恋人の意味をちゃんと分かってる?」

「君は私が好きだろう?」

「え?な、何で急にそうなる?あれ?」

「ならば、嫌いか?」


だからなんでそうなる。
これは絶対に答えなきゃならないのだろ……やめろ、捨てられた子犬のような目で私を見るなアストラル。一体私にどうしろって言うんだアストラル。逆に教えてくれアストラル。何と答えれば私を許してくれるんだよ。


「なまえ」

「う……」

「私は君が好きだよ」


そう言って柔らかく微笑むアストラル。その瞬間、私の胸にグサリと何かが突き刺さった。……いや惚れてないから。断じてこれは惚れた訳じゃないから。今目の前にいるアストラルがいつもよりかっこよく見えるのは、きっと、この暑さのせいだ。そうに決まってる。でなければ、私がこんなに――


「……私もアストラルが好き」

「あぁ、知っている」

こんなに簡単に、私が流されるはずがない。



(あ、なまえ!お前とアストラルは恋人なんだってな!)
(うわあああああ言うなよもおぉぉぉぉぉ!)