私がこの制服に袖を通して三度目の春が来ました。三度目の正直って、本当にあるのね。この春学園に一人、女の子が増えました。華奢で小さくってふわふわと愛らしい……ふふ、ねえ、こっちにいらっしゃいな。ああどうかそんな怯えた顔しないで。確かに私は男の子達を従えて、マドンナ様なんて呼ばせてる怖い先輩だものね。貴女がそう思うのも仕方ないわ。虐められるかもしれないって?大丈夫、痛くしないからこっちにおいで。そう、いい子。ふふ、震えちゃって可愛い。え?貴女を嫌いじゃないのかって? 確かに貴女に嫉妬していないと言えば嘘になるわ、愛される事って心地いいもの。私も一応人間だから、散々好きだの何だの言ってたくせにって思うのよ。新しい子がきたらすぐそっちにいっちゃって。でもそれが私達流行り物の定めだもの。貴女もそのうちわかるわ……そうね、寒くなる頃、十二月なんか特に。私の好きな歌手が歌っていたわ、十二月には自殺する女が増えるって。わかるのよ、どれだけ特別だと言われても私達は特別になんかならないしなれやしないの。それを知っているから私、貴女を引っ掻くなんてしないわ。男子校に女一人なんてね、夢みたいなんて皆言うけれど実際は地獄よ。無傷ではいられないもの。貴女がもし天国にいたなら私は貴女を妬むけれども、同じ地獄に落ちたなら守ってあげたいと思う。もがく悪意は可愛らしいけれど、許せないのは自分は無害ですって顔で、女って怖いなんて言いながら無神経に人を傷付ける奴等。私が本当に憎たらしいと思うのはね、私より輝いている子じゃないの。いつだって男の方なのよ。