夢と現実


ある日夢を見た。優一が足に怪我をおい、サッカーが出来ない身体になってしまう。その代わりに京介は優一の為にと必死にサッカーをしている。そんな夢だった。

目が覚めて変な夢だな…なんて思った。だって優一は毎日サッカーを頑張ってるし、京介は毎日あてもなくゲーセンに通いつめて過ごしている…。


「ね?変な夢でしょ?けどね、夢の中の二人は凄く楽しそうなの…まるで昔の二人みたいでしょ…?」

「…そうか…」


返ってきたのは短い普通の返事。だけど、私はこの時変な違和感を感じていた。


「…なぁ、琴音」

「ん?」

「もし…今見ているものが現実じゃなかったら…君はどうする…?」


私は言葉を失った…。何を言ってるの?それしか言葉を返せなかったからだ。だって…優一の表情が凄く…真剣だった、から…


「…分からないよ…そんな事…。だって今が現実でしょ?」


私がそう言うと、優一は困ったように、そして…悲しそうに、笑った…


「優一…?」

「ゴメン、変な事言っちゃって…」


彼は何か私に隠している。それは痛い程分かった。けど、彼は何も言わない。きっと私に迷惑はかけられない。そんな事でも考えているんだと思う。

それなら、それでもいい。私は、何も言わない。彼が一番だと思うことをして欲しいから。


「ねぇ、優一…」

「…なんだい、琴音?」


無理はしないでね

私は、何も出来ない。だけど、優一や京介の近くにいるから…。また三人で笑いあってサッカーができる日まで…


「ありがとう、琴音」


優一はいつにもまして穏やかな表情で笑っていた…。


【夢と現実】
ここは嘘で塗り固められた悲しい世界
(私たちの幸せは)
(三人一緒に)
(笑いあって過ごす事)

end



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