幕開け



4月…桜の花びらが飛び交っている中、一人の少女がボンゴレ学園へと足を向けていた。


『新学期、楽しみだな』


少女の名は沢田瑞希。今日からMTIクラスの一員になる少女である。しかし、そのことを知らない彼女は、新学期ということで、普通に登校していた。


「ちょっと待って、姉ちゃん!」


後ろから、聞き覚えのある声が少女を“姉”と呼びながら走り寄る少年の姿があった。


『ツナ…?』


後ろから来るのは少女の弟、沢田綱吉。時期ボンゴレ10代目となる少年だ。


「姉ちゃん、酷いよ先に行くなんて!」

『あはは、ごめんツナ』

「笑い事じゃないよ!…もう…」


拗ねたように頬を膨らます綱吉に、瑞希はまた苦笑しながら、とりあえず、綱吉を宥めて学校へと向かった。


『誰と同じクラスになるかな』

「さぁ?でもさ、俺達一緒のクラスだと面白いのにね!」

『そうだねっ!でも、流石にそれはないけどね』

「あ、はは…だよね(くそっ…他の奴が姉さんの隣座るなんて考えたくねぇ!)」


綱吉がこんな事を思っていることもつゆ知らず、瑞希は普通にクラス表を探していた。


『ん…と…』


次の学年である2年のクラス発表表を覗く。どこのクラスかと胸を踊らすが、瑞希の期待も虚しく、それは崩れ去った。なぜなら、そこには名前が書いている筈の自分の名が書かれていなかったからだ。


『えっ』


まさかの予想もできない事件に瑞希は綱吉のもとへ走った。私の名前がない。と言いに。


「ねっ、姉ちゃん!どうしよう!俺の名前がない!!」


走りよってくる綱吉の言葉に瑞希は困惑した。綱吉の名前もない事に…。

回りの生徒達はどんどん学校へと入っていく。その事にまた焦りが見える。これは学校側のミスなのか、それとも何か別の事なのか…


「ね…姉ちゃん…」

『んー、私何にも話聞いてないしな…』


生徒会長である瑞希にも話が何も通っていない。つまり…実質、何の手掛かりもないのだ。不安に見舞われる二人に、陽気な声が二人の耳に入る


「ん?よぉ、瑞希とツナじゃねぇか」

「『へっ?』」


そこには、ボンゴレ10代目雨の守護者、山本武がいた。


「やっ山本!?あぁ、どうしよう!俺と姉ちゃんの名前がないんだよ」

「ん?お前らもねぇの?実は俺もねぇんだわ」


はははっ、と笑う山本に苦笑いを浮かべる。そして、山本はそういえば…獄寺も名前がないと騒いでいた事を話した。


『なんか、可笑しいね。みんな名前がないなんて』


そういえばそうだ。と悩む3人。校庭には誰もいない。さて、どうするべきか…。そんな時だ…学校中に放送がかかった。


《名前がねぇ奴は元の1-Aの教室ににきやがれ》


1-Aというのは、瑞希の元のクラスだ。疑問が消えないまま、3人はAクラスへ移動する。

瑞希達がクラスに着いた時、すでに何名かは席に座っていた。そして、クラスにいた全員が、見慣れたメンバーだった。

『なんで、恭弥や骸がいるの?』

「瑞希…。ねぇ、これいったいなんなの?」

『いや、私に言われても…』

「クフフ、瑞希おはようございます!」

『えっ?あっうん。おはよう、骸』

「ちょっと、瑞希に話しかけないでよ」

「クフフ、別にいいじゃないですか。それに、雲雀君には関係ありませんよ」


睨み合う二人はいつの間にかトンファーとトライデントを取り出し、喧嘩を始めてしまった。そんな二人に、またか。っと溜息を付きながら、クラスを見渡す。


「姉ちゃん、なんでヴァリアーまで」

『わっわかんない。』


ヴァリアーのメンバーがいるということは、歳すらも関係ないのだろうか。まぁ、とりあえず考えても仕方がないだろう。


「だっ大丈夫、かな」

『大丈夫だよ、ツナ。あっ、ほらもうすぐチャイムなるから座ろう』

「う、うん。」


瑞希と綱吉が適当な席に座った後、同時にチャイムが鳴り響いた。そして、また同時に教室のドアが開く。


「おい、席につけテメェら。…授業…始めるぞ…」


ニヤッという効果音が似合いそうに笑いながら少し低い声が教室に響いた。


【幕開け】
男は黒いスーツに黒い帽子を被った…


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