(GL)

「好きなの…、瑞希ちゃんが。」

いつになく真剣な顔をした京子がそこにいた。私も京子が好きだよ?そう言えば、彼女は少し悲しそうな顔をして、こう言った。

「違うの…友達とかそういう意味じゃなくて…本気で瑞希ちゃんが好き。」

そういう京子の顔は凜とした表情に不覚にもときめいてしまった。返事に困っている私に、京子はゴメンね…。そう言って、私の前から去って行った。私はその場にただ呆然と立ちすくんでいただけだった。

私は京子が嫌いではない。寧ろ好きだ。元気で無邪気な笑顔も、ケーキを美味しそうにほうばる姿も全部全部大好きだ。たまに冗談でも好きだと言われて抱き着かれると胸がドキドキする。あれ…これ、は…

「私…京子の事…本気で…」

これが恋と言うものなのだろうか…。彼女はいったい、私に何を求めているのだろうか…。私の頭の中が彼女でいっぱいになった。

次の日。彼女はいつものように。まるで昨日の事が無かったかのようにおはようと挨拶してきた。

「きょう、こ…」
「ん?どうかした、瑞希ちゃん」

何故そんなに笑っているのか分からなくなった。なんで、そんな笑顔で笑っているの?

「あの…昨日の事なんだけど…」

そう言えば彼女は一瞬ばつが悪そうな顔をして、いつもの笑顔に戻った。

「あぁ、昨日の事は気にしないでっ!あれ、冗談だから!」
「冗談?」
「うんっ!ゴメンね、困らせちゃって」

えへへ、と笑う彼女の顔がとても苦しそうに笑っていた。これは嘘だってすぐに分かるくらい、苦しそうに…。それが何だか嫌で、胸がモヤモヤして、私は咄嗟に彼女の手を取り、教室を出た。

「瑞希ちゃん…どう、したの?」
「京子、嘘ついてるでしょ…」

今は使われていない教室に勝手に入ると彼女はおどおどとしながら私に問い掛けた。私がそれに答えれば、彼女はそんな事ない。と目を逸らす。それが嫌で仕方が無かった。私はとっさに彼女の手を握る

「京子…私ね、京子の事好きだよ?勿論友達としても、一人の女の子としても」
「瑞希ちゃん…本当?」
「うん。」

彼女はいつもより綺麗な笑顔で笑う。その顔を見た瞬間、トクンと胸が高鳴った。彼女のしなやかな指が、私の頬へ這う。暖かく柔らかい、掌。女の子の手だ。

真剣な彼女の顔がいつもよりも素敵に見える。可愛いよりも、格好良い…。なんともいえない雰囲気が教室を漂っており、それに私は生唾を飲んだ。ゴクリ、と喉がなった。

「瑞希ちゃん、大好き。」

無邪気な笑顔を私に向け、そのまま、ゆっくりと顔を近づけ、私の唇にキスを落とした。彼女の顔を直接見るのがなんだか恥ずかしくでギュッと目を瞑る。

ふわっと甘い香が舞った。ゆっくりと目を開くと、息がかかるくらい間近に彼女の顔があった。睫が長くて、目もパッチリしている。そして、いつもより頬が紅潮していた。彼女にしては珍しい表情にドキドキした。

「きょ、こ…」

そして、私は彼女とキスをした。その事実に私の顔は一気に熱をおびた。彼女にキスをされて嫌じゃなかった。寧ろ嬉しかった。私はそうとう彼女が…京子の事が好きなようだ

「好き、だよ…」

私も。そう言って彼女は、また私の唇にキスを落とした。

【友達を抜け出して】
可愛くて格好良い彼女が出来ました
(ずっと二人一緒)
(約束だよ、瑞希ちゃん)

END

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