私の大好きな彼は真っ黒なんです。そんな彼を好きになった私は…もう末期なのだ。
『ツナ、一緒に帰ろう』
「うん。帰ろっか、瑞希ちゃん」
『うん。』
私の彼、沢田綱吉は絶対みんなの前で本性を見せない。いつもダメな役を演じている。本当の彼はなんでも出来て、すっごくカッコイイ。性格は真っ黒だけど…。彼と教室を出ていつもの帰り道を歩き、いつものように彼の家へ立ち寄る。
そして、いつもの本性である彼が現れるのだ。
「はぁ…やっぱり疲れるし面倒だな。」
『それだったら本性だせばいいのに。』
「瑞希、いいのか?」
『えっ…?』
ニヤニヤと笑いながら彼は私を見る。ゆくゆく考えてみれば…もし彼が本性出したらきっとモテモテだ。だってカッコイイもん。…そうなったら…私…
『…やっぱり…嫌…かも。』
「だろ?」
悪戯に笑う彼を見て無性にムカつくけど…やっぱりカッコイイと思ってしまう。私は本当に沢田綱吉という男に完全に溺れてしまっているようだ。
そして、次の日いつものように彼と登校し、得に何も変わらない一日が始まった。勿論彼はダメツナバージョンである。
私は俺様な彼も好きだけどダメツナのときの彼も好き。だって、ダメツナのときのツナはめちゃくちゃ可愛いから!
そんな彼と一緒にいる私は本当に幸せ者だと自分で思う。
私達は学校に着くと、彼は、獄寺君と山本君の下へ、私は京子と花とたわいのない話。
「瑞希、あんた最近沢田とどうなのよ」
『へっ!?いっいきなりなんで!?』
「私も気になる!瑞希ちゃん、最近ツナ君とどうなの?」
『ふっ普通だよ!』
「本当に?」という顔で私を見る二人。そんなたわいのない話をしてるとなぜか、周りがざわついてきた。代わりに私はぼーっとしていた。そのとたん、花が話し掛けてきた。
「瑞希、あんたに客人よ」
『えっ?なんで私に?』
ドアの方に目をやる。確かに誰かいる。……誰?
「あの人って確か、B組の中西君だよね?瑞希ちゃん知り合い?」
『知らないけど?というより中西って…誰?』
「えぇ!!瑞希、中西君知らないの!?」
多分、クラスのほとんどの女子が私を見て驚いていた。
「はぁ…もう、瑞希!!よく聞きなさい!」
『はっはい!』
「中西君っていうのは、スポーツ万能で成績優秀。本当に火の打ち所がないほど女子の憧れの的なのよ!」
目をキラキラさせながら、たんたんと中西君の説明をされても、当然、私には関わりがない事。だって私はツナ一筋だもの!
『へぇー。』
「「へぇー。」…じゃない!もういいわ。瑞希早く行きなさい。」
『えっ!?ちょっなっなんで!?』
みんなが私をどんどん後ろから押してくる。私は仕方なく観念して、その中西君という子の前に出た。
『あの。なんの用ですか?』
「あっあの、用っつわけじゃないんだけど…その…っ」
中西君はどんどん顔を赤くしていた。…風邪でもひいてるのかな?
「おっ俺、 の事ずっと前から、そっその好きだったんだ!だから俺と付き合ってくれ」
『はっはい!?』
突然の告白。私は理解するのが少し遅れてしまった。周りの人達は「どうするの?」とかなんとか言ってる。なぜならみんなは、私とツナが付き合ってる事を言ってないから。クラスで知ってるのは、京子と花ぐらい。そのとき私は知らなかった…。彼が中西を睨みながらゆっくり立ち上がりこちらへと歩いてくるのを…。
「あっあの、返事はいつでもいいか「ふざけんじゃねぇよ。なに俺のもんに手出してんだよ」
いつの間にか、ツナは私の前にいた。勿論、口調では分かる通りダメツナではない。周りのみんなは、ぽかぁんとして、様子を見ていた。
「聞こえなかった?瑞希は俺のだ。手出した奴はぶっ殺す。」
少し殺気を込めながら睨む彼にみんなは、少しびくついていた。もちろん中西君も。
「瑞希。」
『なっなに、ツ…んっ』
いきなり抱きしめられ、口を塞がれ、口内をツナの舌で犯される。
『ん…ぁっ…っ…んっ』
わざと、クチュクチュといやらしい音をたてられる。そしてゆっくり触れ合っていた、唇がゆっくりと離される。私は腰が抜けて、その場に座りこんでしまった。
『つっツナ!!いきなりなにするのよ!しっしかも人前で!!』
「ここに居る連中に見せ付けてやろうかと思ってさ」
ニヤッという効果音が似合いそうな微笑みを私に向けるツナ。周りのみんなは、顔を真っ赤にして固まっていた。
『えっ…あっ…その』
一番近くで見ていた中西君は顔を真っ赤にさせながら放心状態。彼は私に優しく微笑く微笑んで、立ち上がった。
「なぁ、あんた中西、だっけ?さっきので分かっただろ。こいつには俺がいんだ。それでも…手ぇ…出すきか」
「……」
睨み一つで中西君を黙らせる。
「あっ、そうだ。お前らも瑞希に手出すなよ…殺すからな。」
『っ…ツナ…』
「なんだよ瑞希。」
『あの、ごめ、ん…私のせいで皆にばれちゃって…本当ごめん…』
全部、私の責任だ。本性をばらしたくない筈だったのに…そう思うと私の口から出てくる言葉は“ごめん”という言葉だけだった。
『本当に…ごめん…』
「たく、本当何馬鹿な事言ってんだよ」
彼は私をギュッと抱きしめた。
「俺は瑞希を守れたらそんな事どうでもいいんだよ。別に本性がバレたってどうってことないんだよ。」
『…ツ…ナ…ありがとう。大好き!!』
「知ってる。でも俺は瑞希の事愛してる。」
【こんな彼でも】
大好きでカッコイイ彼なんです。
End