4月9日
一般では始業式で今日から学校が始まる。勿論それは私が通う並中もだ。新しい学校生活が始まるということで、学校に早く行く。勿論私も早く行くつもりでいた。
でも遅刻魔の私は、朝が弱い。起きた時間は…8時。私の家から学校までどんなに急いでも20分はかかる。
けど、初日から遅刻をしてみろ、あの人に…殺される!!今まで生きていた中で多分一番早いであろう速度で準備ををして家を飛び出し学校まで走る。
『流石に…始業式に遅刻したら…絶対に殺される!それだけは嫌っ!』
無駄に声を出しながら必死に足を動かす。校内へ入るにはあと一歩…
キーンコーンカーンコーン
「はい、遅刻。」
無常に鳴り響くチャイム。そして今一番聞きたくない、声…
『ひっ雲雀さん!』
「初日から遅刻だなんてね。僕に咬み殺されても文句は言えないよ、 …」
『すみませんすみませんすみません!』
「問答無用。」
何処からともなく出てくるトンファー。そしてそれを振り下ろす雲雀さん。私、これで死ぬかも。いや、だけどまだこの年で死ぬなんて嫌なんだから!
『雲雀さん、このままでは始業式に出れません!!』
「そうだね…で、それがなに?君が遅刻するのが悪いんでしょ?」
『うっ…すみません!!今度から気をつ「それ、いったい何回目?この前もその前も言ってたよね」…あれ、そうでしたっけ?』
「『…』」
言いようがない気まずい沈黙が、私達の前を流れる。とても、気まずい…。この状況をどうにか打破したくて必死に無いに等しい頭で考える。
そんな私を見て、口元を抑えながら笑う彼。
「…ねぇ瑞希」
ん?あれ…なんだか…違和感のようなものが…。
「ねぇ、聞いてるの?…咬み殺すよ瑞希」
『えっ、あっ、なっ名前!?』
私の反応が面白いかっただろうか…雲雀さんはクスクス笑っている。その半面、私は顔が真っ赤になっているのが自分でも分かるくらいに赤かい。だって雲雀さんが私の名前を呼んでるんだから!
「ねぇ、なに赤くなってるの?」
『だって雲雀さんがいきなり名前で呼ぶから!』
「ふぅん…僕のモノを名前で呼んじゃあダメなんだ。」
『わっ私、雲雀さんのモノになった覚えないです!』
何なの、僕のモノって!はは初めて言われたそんな事。
「はぁ…鈍感にも程があるよ…」
『えっ、わっ!』
言葉にならない言葉を言いって、訳が分からなくなっている私を雲雀さんはいきなり抱き寄せた。息がかかるくらい雲雀さんの顔が目の前にきて、長い睫毛とか、あの鋭い切れ目とか、目の前は何から何まで雲雀さん一色だった。
『あっあの雲雀さん』
「なに?瑞希?」
『はっ放して下さい!これ以上私をからかっても楽しいわけないでしょ?』
「はぁ…なに、ここまでして分からないの?本当馬鹿だね」
『ばっ、馬鹿は酷いで、っん!!』
近かった距離が更に近くなる。目の前には雲雀さん以外写っていなかった。異変があるとすれば、口元だ。唇に何が触れている感触…。
『ひっ、ひば…』
「好きだよ瑞希。」
唇がゆっくり離れて、彼の名前を呼ぼうとした瞬間、有り得ないであろう彼からの…“告白”
『なななっ!』
「返事なんて聞かないよ。君に拒否権はないからね」
ニヒルに笑う彼はただただ楽しそうに私を見ていた。私は校門の前で何をしているのだろう。そんな事を頭の隅で思いながら、彼からの二度目のキスを受け入れた。
【春の始まりは学校から】
私も、好きです。雲雀さん。
End