注意
近親相姦
原作関係無し
外はさんさんとした太陽が照りつく昼間。普通なら外に出て走り回るくらいだというのに、その部屋ではカーテンで閉ざされ、狭い空間に荒い呼吸音が響いていた。
真夏でこんなに湿度も室温も高いっていうのにエアコンもつけないなんてどうかしているのかもしれない。だけど、少しの機械音ですらも、お互いの耳にはいれたくはない。ただ、互いの声だけが聞きたいらしい。
「つ、なぁ…ひゃ、ぁ」
もう我慢の限界だと目で訴えると、綱吉は優しい表情で瑞希を見て、額に口づけを落とした。額に張り付いた汗がポタリと瑞希の胸へと重力に任せて落ちる。
はやく、と綱吉の腕を掴んでせがむと先程の愛撫で解かされたそこに、綱吉のソレが当てがわれる。ゆっくりと自分の中に入ってくるその感覚は圧迫感と多少の痛みが生じる。
「ね、さん…っ、力、抜いて」
「ぁ…む、りぃ…」
瑞希は苦しそうな顔をする。そんな彼女の姿に綱吉は心配そうな顔で見て動きを止めた。そしてそっと口づける。
気づかないうちに瑞希の目からは涙が流れていた。それを綱吉は下から掬いとる。そして、瑞希の長い髪を撫でる。
「つな…んっ、あぁっ」
再び律動を開始したそれを奥深くにおし進めていく。はいったよ、とへらりと笑う綱吉自身もきっと既に限界なんだろう。いつもの笑顔と、その中に少し苦しそうな表情が見える。ゆっくりと腰を動かす。労るように、慈しむように、愛するように。
段々と綱吉の腰の動きが速まるにつれ、瑞希もそれに合わせて身体を上下に動かした。口を開ければ引っ切り無しに甘い声が漏れる。
「っひぃ、あぁっあ」
「ねぇ、さ…」
もっと、もっと聞かせよ。姉さんの…瑞希のその綺麗な声を。
耳元で発せられた、綱吉の低く渇いた声に瑞希は意識を飛ばしそうになる。きっと今が一番幸せかもしれない。それがいけない事だと分かっていても、だ。
瑞希が意識を飛ばした直後、熱い液体がゴム越しに、中でどろりと出されたのを感じた。
「子ども、欲しいな…」
情事の後、唐突に綱吉の口から出た言葉に瑞希は呆気に取られた。不思議そうに綱吉を見れば、いつにもなく真剣な眼差しでこちらを見ていた。その表情にトクンと胸が高鳴る。
「子ども、かぁ」
「将来的に、だけど」
「そっか…。うん。ツナなら大丈夫!頑張ってね!」
今の私はちゃんと笑えているのだろうか…不安になりながらも、瑞希は綱吉に言葉を向ける
「なんでそんな他人事みたいに言うんだよ、姉さん」
「えっ…なんでって言われても…。じゃぁ私はどんな反応すればいいの?」
「そうだね、頑張ろ!って感じ?」
「それ、私の台詞?」
「うん!」
もう…っと溜息をつけば、綱吉のしょぼくれた表情が瑞希の目に入った。
そりゃぁ私だって欲しい。愛しい弟…いや愛しい彼との子どもを。だけど世間一般から言って、姉弟でなんて以っての外だ。そんな事、綱吉も百も承知のはずだった。
ボンゴレやファミリーの未来を託すべき子どもを汚れた血にしてはいけない。
「ツナなら、きっといい人できるよ」
「…」
「結婚して、幸せになれば子どもだって必然的に出来るし…それに、きっとファミリーのみんなも祝福してくれる」
「…姉さん…」
「だから今考えることじゃ「瑞希っ!」っ…」
いつになく饒舌だった瑞希の口がピタッと止まる。それと同時に身体がビクッと震えた。
本当は愛し合ってはいけない関係で、こんな行為だってしてはいけないなんて十分に理解していた事。あぁ、出来ればツナの口からこんな話を聞きたくなかったな。
話を遮られ、綱吉に名前を呼ばれ、気付くと強く強く瑞希は抱きしめられていた。
「そんな事…姉さんの口から聞きたくないよ」
「…ダメだよ…ツナ…」
「分かってる。けどさ…俺、いっつもそういう気持ちで姉さんと繋がってる」
「ダメ…」
口から出るのは否定の言葉。ただ全てを否定していく。きっと今の顔は泣きそうな顔をしているに違いないと瑞希は思う
「でも、さ…それだけ姉さんに本気なんだよ…俺。ずっと、ずっと小さい頃から」
抱きしめてくる腕の力が強くなって、このまま窒息できるんじゃないかと思うくらい苦しくて、切ない。
「ねぇ、ツナ…」
「ん?」
「愛って、何なんだろうね」
「何って?」
「誰かを慕う気持ち。誰かを愛しく思う気持ち。相手に伝えるのに一番の言葉」
けど、この気持ちは子孫を残す為だけのもの。とくに今度のボンゴレにはなくてはならない必要なもの。だけど姉弟じゃ子どもを産む事も、子孫を残す事もできない。いや、してはいけない。
結局、人間という生物は欲の塊。とくに性欲と子孫繁栄のに関しては右に出る生物はいないだろう。
愛なんて…存在してるようで、存在してないのものだ。
「私たちのこれは、愛じゃないんだよ」
子どもも作れない、血の繋がった姉弟。なのに、この感情は一体なんなんだろうね。一体、何のためにあるんだろうね。
あんなに愛し合って、キスをして、繋がって…そんな後だというのに、胸の奥に残るのはただ虚しいという感情だけ。
虚しくて、哀しくて…辛い。こんなの愛し合ったって、言えないね。私だってこんなにツナの事を愛してるのに。もしかしたら逆にそれがダメなのかもしれないね
ゆっくり離れて見れば、瑞希の目に入るのは俯いて黙る綱吉の姿。綱吉を傷付けると分かっていて、なんであんこと言ってしまったんだろう。姉弟という事を一番気にしているのは綱吉自身なのに。
綱吉の姿を見ていると、なぜだが瑞希は無性に泣きたくなった。
「…る」
「え?」
辛そうに頭を垂れる綱吉を見たくなくて、瑞希も俯いて煩い沈黙に耐えている時、小さな声で綱吉が何かを呟いた。
「…な、に?」
「…、てる」
「聞こえないよ、ツナ」
小さく震えた声で言うものだから、最初の言葉が聞き取れない。
「愛してる…姉さん」
ゆっくり顔を上げて、真っ直ぐな瞳といつもより低い声で放たれたその言葉が、狭いこの空間を完全に支配した。外の声すら何も聞こえなくなる。
聞こえるのは綱吉の声だけ。
「愛してる、愛してるんだ、姉さん」
「つ、な…」
「これでも、俺の気持ち…姉さんに伝わらない?」
世界がどう思おうと、愛という言葉がそんな意味であっても…
「俺は、姉さんを愛してる。それだけは変わらない。」
「つ、な…」
それだけでよかった。私はツナを愛して、ツナに愛されてる。それだけでよかったのだ。
「何年、何十年たとうとも、俺には姉さんだけだよ。だからずっと側にいて」
綱吉の顔が近づいてきた時、また蝉の鳴き声が煩くなった。
【I、哀、愛】
たとえいけないと分かっていても
(貴方が望めば…)
(私は全てを捧げます)
END
なんか色々すみませんでした!!!