数学なんてやったってつまらない。ガキ騙しの計算なんて正解したところで何にもならない。俺が教えて欲しいのは…

姉さんを手に入れる為の解答だけ。なぁ、誰でもいいからさ…この俺にさ…教えてくれよ…


【泣き虫ランボ】


『さぁ、ツナ!数学頑張ろね!』


姉さんの陽気な声が俺の部屋に響いた。数学の宿題なんてたかが中一の問題だ。眠っててもできる。しかし、姉さんがわざわざ俺の為に教えてくれるのだ。俺はあえて問題を間違える。わざと姉さんに構ってもらう


『じゃぁ、−2+8は?』

「さ…3?」


例えそれがどんなにムカつく事や、屈辱的な事をされても俺はそれを我慢する。姉さんが俺を見ていてくれるただそれだけで十分だから


「ハズレ」


ドンッと爆発音が綱吉の部屋に響く。気づけば部屋中ボロボロ。そんな中、綱吉はなんとも情けない声を出す


「んぎゃあぁあ」


綱吉が問題を間違える度に起こる爆発。いったいどこの世に答えを間違えるたびに爆発起こす家庭教師がいるというのだろう。綱吉はふざけるなと抗議する


「それにこれが俺のやり方だ」


しかし、そんな事リボーンの前では無に等しく、あまり意味をなさない行為

「姉ちゃんもなんか言ってよ!このままじゃ身がもたないよ」

『大丈夫だよ!ツナだもん!それより早く勉強しないと!今回は私のお小遣もかかってるんだから!』


綱吉は渋々勉強に再び集中する。数日前の話だ。母さんに今度テストの点が上がったら小遣いアップしてもらう。そのかわり、このままでは、姉弟共々お小遣が減らされてしまうのだ。その為、瑞希はいつも以上に綱吉に勉強を教えていく。必ず良い点数をとらせる為に


「そう、だけどさ…このままじゃ小遣いが上がる前に俺が昇天しちまうよ!」


確かに綱吉が言う事も分かる。しかし、今はそんな事を言っている場合ではないかった


『あ、れ…?子供?』


ふと瑞希が外を見れば、牛柄のシャツを着たボンバーヘッドの男の子がいた。少しした後、やってられない。とぐたぐたな綱吉も子供に気付き、変な声を出しながら驚いていた


「んじゃ今のおさらいするぞ」

「ちょ、おいリボーン!あれ!」


綱吉は銃を持った牛柄の子を指を指し、リボーンに知らせている。しかし、リボーン全くの無視。まるで存在すらも気にしていない様子である


「死ねリボーン!」


銃口をリボーンに向け、引き金を引こうとしる牛柄の子供。綱吉は焦りながらリボーンに声をかけるが、リボーンはいつもの調子で解説し続ける


「ねっ姉ちゃん!」

『ツナ、大丈夫だよ』

「えっ」


それっ!と牛柄の子は引き金をひく。バンッと銃声が響く。と思ったが、銃声は響く事はない。実弾は入っていなかったのだ。牛柄の子はしまったという顔をする

そして不意にミシッ。っという音が聞こえる。木が折れそうで不安定のだ。その後、ミシミシと鳴っていた音はバキッと折れる音に変化する。上に乗っていた牛柄の子は案の定下に落ちてしまった


「くぴゃあ」

『あっ…!』

「な、なんだ!?」


いきなり落下してしまったのを見て、綱吉と瑞希は窓の下を見る。先程の子は痛さを我慢しながら涙目になっていた


『わぁ、か、可愛い…』

「そっ、そうかな…?」


瑞希は可愛い物を愛でるかのような目になっていた。そんな瑞希に綱吉は疑問符を浮かべた。どこが可愛いのだろうかと…。確かに瑞希は可愛い物が大好きだ。だが、流石にこの状態のものを可愛いとは思えない。

綱吉はふとリボーンを見る。このままでいいのか、そう訴えかけるような目をしながら。


「今の公式でこいつ解いてみろ」


リボーンはなんの変化を見せず、先程と同じように問題を教える。そんなリボーンを見て、綱吉はもういいか。と勉強へと戻った


数分後、ピンポンと家のチャイムが響き渡った。そしてその後聞こえたのは階段を駆け上がるような音だった

いや、まさか、な…?

ガチャと部屋のドアが勢いよく開く


「久しぶりだな、リボーン!!オレっちだよランボだよ!」


ランボと名乗る子供は今だにリボーンに無視をされる。リボーンは何も変わらずに綱吉に問題を教え続けていた


「ねっ、姉ちゃん、あれいいの?」

『うん…まぁ、いいんじゃない?』


苦笑いを浮かべながら瑞希もとりあえず綱吉の勉強を教えるのに集中した。その間、怒りで包丁をリボーンに突き刺したり、それを返された後、ランボは壁に激突する。必死に涙を堪えながら自己紹介をするランボに瑞希はまたどこかキュンと愛でる何かを感じていた


「あ!そーだ今回はいろんなおみやげイタリアからもってきたんだよなーっ!」


ランボはごそごそと鞄を漁る。瑞希とリボーンは何も気にしないかのように綱吉に勉強を教える


『ツナこの答えは?』

「よ…4かな…」

『うん。正解』


みんなで無視をしていると、ランボはプルプルと震え泣き出す。そして…何を考えたのかいきなり雰囲気を変えてきた


「フォホホホホ今回はボヴィーノファミリーに伝わるいろーいろな武器をボスからお借ーりしてきたのだじょー。ジャジャーン10年バズーカ!これで撃たれた者は5分間10年後の自分と入れ代わる」


なにやら面白そうな武器に瑞希と綱吉は興味を示した。だがランボは見本展示品といって鞄の中へ直してしまった。二人はどこかイラッっとする感情を覚えた


「まぁっいいもん見っけ!」


ガサガサと鞄をあさりつづけたランボは何か見つけたようだった。手の中には…


「あららのらこれ何かしら?」

「手榴弾!?」


ピンと手榴弾の引き金をとり、それをランボはリボーン目掛けて投げる。だがリボーンはそれを意図も簡単にランボへ跳ね返す。なんともいえない音を発した後、反動でランボは外へと飛び出る。そして手榴弾はそのまま爆発してしまった


『リボーン、やり過ぎだよ。知り合いなんでしょ?』

「あんな奴しらねーぞ」


さも当たり前のようにリボーンは答えた。ボヴィーノは中小マフィア。ボンゴレとは点で話にならない程の差がある


「俺は格下は相手にしねーんだ」


リボーンはそんな奴を相手にはしない。という事だ。流石は最強のヒットマン。余裕が違う


「ツナ〜」


下から奈々の呼ぶ声。綱吉はそれに従い下へ向かう。二人残されたリボーンと瑞希はどこかいつもと違う雰囲気を纏っていた


『あの、さ…リボーン。私…』

「お前の好きにしろ、瑞希。」


リボーンは全てを分かっているかのように答えた。瑞希は少し面をくらったように驚いたが、再び笑みを取り戻す

瑞希は悩んでいた。今の自分にボンゴレの為に、そして大切な人達や、大切な弟の為に何が出来るのだろうと。

空を見上げれば、蒼く綺麗な空が広がっていた


「ただいまー」


いつの間にか外へと出ていた綱吉が帰ってきた。下へ行くと疲れた表示の綱吉がランボと共にいた


『お帰り、ツナ。なんか疲れてるみたいだけど大丈夫?』

「うん、まぁ…。なぁ姉ちゃん…コイツどうにかならないかな?」


綱吉にくっついて離れなかったランボがひょこっと顔を出す。ランボはじーっと瑞希の顔を見る


「お前だれ?」

『私は瑞希。よろしくねランボ』


瑞希はランボの頭を軽く撫でる。すると綱吉にくっついていたランボは綱吉から離れ、瑞希にくっついてきた


「俺っち瑞希の事気に入っちゃたんだもんね!」

『ふふっ、ありがとうランボ。』


瑞希はランボの頭を撫でる。子供が好きな瑞希は本当に幸せそうな顔をしていた。その後、奈々に呼ばれた瑞希は二人を残し、台所へ向かった


「おい、糞ガキ」

「ぐぴゃっ!」


綱吉はいきなりランボの頭をわしづかみする。いくらガキだからって、姉さんに馴れ馴れしくする奴は許さない。そんな思いを持ちながら、綱吉はランボを睨みつけた。ランボはさっきの話を聞いてくれた綱吉との変貌にガクガクと身体を震わせる。綱吉は今にも殴りそうな勢いだ


「ツナ、よせ。」


そこにリボーンが現れ、止めろと命令する。邪魔をするな。綱吉はそう目で訴えた


「格下を相手にしたところでだ。」

「チッ…」


綱吉は舌打ちをした後ランボを下に下ろした。ランボは今だにガクガクと震えていた


『みんな、ご飯だよ!』


瑞希の言葉に全員が台所へ向かった。今日の昼食はパスタだ。奈々は後の事を瑞希に任せ、お隣りに回覧版を持って行った。しんと静まりかえる食卓。綱吉はいづらい雰囲気に我慢の限界を超えた


「リボーンなんとかしろよ俺じゃあ手におえないよ!!」

「…」


綱吉はリボーンに何とかしろと叫ぶが、リボーンはそれを無視し、ご飯を食べ続けた。シカトするリボーンに綱吉が苛立ちを覚えたのは言うまでもない


『ランボ?』


そんな中、ランボは一人息を呑みながらナイフを持ち、様子を伺っていた。ゴクリと唾を呑み、ビュッと勢いをつけナイフをリボーンの方へ投げる。しかし、それは簡単に跳ね返される。跳ね返ったナイフはランボの額へと刺さっていた


『痛そう…』


血がだらだらと流れる。痛さのあまりランボは思わず泣き出してしまう。学習力のない奴だと綱吉は溜息をついた

ランボは持ってきた鞄をガサガサとあさり、何かを取り出す。そして取り出してきた物は先程の見本展示品だと言っていた筈のバズーカだった。ランボはそのバズーカを自分に宛がい、そして放った

モクモクと煙が出て、いったい何が起こったのか検討がつかなかった。ゆっくりと煙が薄くなったと思えば、中からランボではない誰かが出てきた


「やれやれどうやら10年バズーカで10年前に呼び出されちまったみてーだな。お久しぶり若きボンゴレ10代目。10年前の自分が世話になってます。泣き虫だったランボです」


牛柄のシャツを着た青年はランボの10年後の姿らしい。誰しも10年もすれば変わるという事だろう。ランボ曰く、あのバズーカで打たれた者は5分間、10年後の自分と入れ替わる事が出来るらしい


『10年で凄い成長したねランボ!』

「…瑞希さん!」


話し掛けた瑞希に大人ランボは愛しい人を見るかのように強く、瑞希の手を握った。


『あ、の…えっと…』


いきなりの事で瑞希は凄く動揺していた。しかしそんなのもお構い無しに大人ランボは目をキラキラさせている


「…ランボ、姉ちゃんから手、離せよ」

「わっ若きボンゴレ10代目」


大人ランボは何故顔を真っ青にさせた。綱吉は普通の笑顔。どこも臆するところは見当たらない。しかし大人ランボは素早く瑞希から手を離し、コホンっと咳ばらいをしリボーンへと身体を向けた


「よぉリボーンみちがえちゃっただろ?俺がお前にシカトされ続けたランボだよ」


しかし、リボーンは今だに無視を続ける。だが、10年の月日は大きいようだ。先程のランボなら、泣きながらまた何か仕出かすだろう。しかし大人ランボは冷静なまま、実力行使という手に出た


「10年間で俺がどれだけ変わったかみせてやるサンダーセット」


角のような物をだし、それを頭につけるとと雷がピカッと光り、大人ランボの角へと電撃を帯びる


「俺の角は100万ボルトだ!死ねリボーン!電撃角(エレットゥリュコ・コロナータ)!」


一直線へリボーンへ向かう…しかし結局はやられてしまう


「が・ま・んうわぁぁぁ」


泣き出し、走り出すランボ。結局は10年経っても何も変わっていない。という事だ


「はっ、ざまぁねぇな」


綱吉は、鼻で笑いながら、ぼそっと本音を呟いた。数分後、ランボは母の奈々と共に家へ戻ってきた。奈々曰く、ランボはリボーンと友達になりたかったようだ。だが、そんな事、嘘だと丸分かりだランボは手榴弾をリボーンに投げつける。しかし、簡単に防がれる


「瑞希、おかわりだぞ」

『あっ、はぁい』


今日も沢田家は平和です


【泣き虫ランボ】
ランボが沢田家の一員になりました
(そういえば…)
(大人ランボが怯えてた理由って)
(なんなの、かな…?)

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