ついに、今日から夢の第一歩。FFで帝国と試合をするために…!


【秘伝書はどこだ!】


FFへの出場が決定し数日後…。円堂と明はいつものように同じ部屋で寝ていた。そして、下から母温子の声が起きろと叫んでいた。


「フットボール…フロンティア…」

『んっ…守兄、朝だよ…』


明は眠たい目を擦りながらゆさゆさと兄を起こす。すると円堂はばっと布団から出て飛び上がった


「フットボールフロンティアぁ!!」

『…あ…はは…』


飛び起きた兄を見ながら明は苦笑いをしていた。互いに学校の用意をして、円堂と明は家を飛び出す。


『守兄、ちゃんと食べてから!』

「フロンティアぁぁ!!」

『あぁ、もう!』


パンをくわえながら勢いよく家を出る円堂の後ろを明は急いで着いて行った


「おはよう」

『あっ、秋!おはよう!』


円堂はむしゃむしゃと急いでパンを食べながら秋に挨拶をする。秋にはみっともないと言われてしまったが、円堂は全く気にしていないようだった。そして円堂は急いでまた「フットボールフロンティアぁ!」と叫びながら学校へと走って行く


『わわっ、守兄待ってよ!ゴメン、秋また後でね!!』

「えっ?うっ、うん」


明は円堂の後ろを必死で追いかけていった。


「あぁあ、一緒に登校出来ると思ったのに…残念」


秋は少し残念そうに肩をすくめながら学校へと向かっていった


「フットボールフロンティアぁ!」

『まっ守兄ぃぃぃ、待ってってばぁぁ!あっ、おはよう二人とも!あぁ、もうだから守兄ってばっ!』


円堂はまだ叫びながら学校内へと走っていった。そして明は走っている横目に壁山と少林を見つけまた挨拶をした後、またすぐに走って行く。そして、時間がすぎて雷門中サッカー部のメンバーは、部室に集まっていた


「みんな!分かってるな!」

「「『おぉぉぉぉ!』」」

「とうとう、フットボールフロンティアが始まるんだぁ!!」

「「『おぉぉぉぉ!!!』」」


やる気の出始めた雷門イレブン。その掛け声に円堂はとてつもなく感動する。


『ねぇねぇ、守兄感動してるところ悪いんだけど…』

「ん?」

「そうだぞ。で、相手どこなんだ?」

「相手は………知らない!」


円堂の発言に、盛り上がっていた雷門イレブン全員は呆れ、一気にテンションが下がる。


「野生中ですよ」


そこに冬海先生が部室へと入ってきた


「野生中は確か…」

「昨年の地区予選の決勝で、帝国と戦っています」

『へぇ、凄い!強いんだね、野生中って!』

「そんな強いチームと戦えるんだな!」


円堂と明は、そんな強豪校である学校と戦える事にとても喜んでいた。が、冬海はそれに水を差すかのような言葉を放った。そして、その後に、謎の少年が現れた


「ちぃーす。オレ、土門飛鳥。いちよDF希望ね。」

「君も物好きですね、こんな弱小クラブに入部したいだなんて」


冬海は場の雰囲気を悪くした後、部室を後にした。土門も肩を竦めていた。


「土門君っ」

「あれ、秋じゃない!?お前、雷門中だったの?」

『秋と、土門君って知り合い?』

「うん、昔ね」


へぇ、っと明は納得しながら土門の前へ


『土門君、私、円堂明!これからよろしくねっ!』

「あぁ、よろしく、明ちゃん!」


明と円堂は、新しく入った土門をとても歓迎する。これで新しい仲間が増えて、また再出発といったところになった


「とにかく、歓迎するよ。フットボールフロンティアに向けて一緒に頑張ろう!」


円堂は片手を土門の手を掴んで引っ張ったり、空いたもう片手をブンブンと振り回していた。新しい部員が入部したのが、よっぽど嬉しかったのだろう。だけど、円堂のテンションについて来れていない土門は、困惑の表情を浮かべていた。


「相手、野生中だろ?大丈夫かな…」

「何だよ。新入りが偉そうに…」

「前の中学で、戦ったことあるからねぇ。瞬発力、機動力共、大会屈指だ。特に高さ勝負に滅法強いのが特徴だ」


円堂は土門の言葉に、動かしていた手を止める。染岡が土門を睨む中、睨まれ本人は特に気にする様子もなく、淡々と野生中の説明をする。不安そうな表情を浮かべる皆の方へ振り返った円堂は、自分達の必殺技がある!と皆を元気づける。


「どうかなぁ?あいつらのジャンプ力、とんでもないよ?ドラゴントルネードだって、上から押さえ込まれちゃうかも」


ドラゴントルネードも高さがあるの…がそれを押さえ込むほどのジャンプ力。全員が焦りの色を見せる。


「んな訳ないだろ」

『でも、土門君は野生中と戦った事あるって言うなら、その意見は無視できないんじゃないかな?』

「土門の言う通りだ。俺もあいつらと戦ったことがある。空中戦だけなら、帝国をも凌ぐ。あのジャンプ力で上を取られたら…」


必殺技が押さえ込まれるかもしれない、と気を落とす宍戸。ジャンプ力が帝国を上回るとなると、土門の言う通り、簡単に押さえ込まれてしまう。みんなのテンションがまた下がる。


『どうしたらいいんだろう…話聞いてたら、今までの技は通用しない、って感じだし…』

「新、必殺技だぁぁ!」

『新必殺技?』

「あぁ!空を制するんだっ!」


雷門イレブン全員、戸惑いを隠せないよいだったが、円堂の言葉により、早速新必殺技の特訓になった。円堂は梯子車を利用し、雷門イレブンは特訓に励む。


『守兄、今まで以上に高さを出す技って…本当にできるのかな?』

「なぁに弱気になってんだよ、明!大丈夫さ、絶対できるって」


どこまでもプラス思考な兄だな、と明は思った。


「よぉ、精が出るな」

「古株さん!」

『こんにちはー』


ジャンプ力を付ける為に特訓を開始してしばらくが経ち、消防車の脇から出て来たのは、雷門中の用務員の古株さんだった。


「こないだの尾刈斗中との試合、見せてもらったよ。良かったなぁ…まるでイナズマイレブンの再来だな」

「『イナズマイレブン?』」


聞いたことのない言葉に、円堂と明は声を揃えては首を傾げた。


「おいおい、円堂大介の孫達が知らないのか?イナズマイレブンのこと…」


イナズマイレブンについて古株さんは話し始めた。


イナズマイレブン…
40年前に雷門中学に存在した、伝説のサッカーチーム。その強さは世界にも通用する程だとも言われていたチームだ。


「くーっ、かっこいい!ちょー絶対かっこいい!イナズマイレブンかぁ…」

『本当、かっこいい!凄いな…イナズマイレブン…』


その話を聞いた円堂は興奮を隠せない様子だたた


「そうさぁ!お前さん達は伝説のチームの血を受け継いでるんだ」

『えっと、つまり…おじいちゃんも?』

「あぁ、円堂大介は、イナズマイレブンの監督だ。まさにサッカーそのもののような男だったよ」


おじいちゃんがそんな凄い人だったなんて、何も知らなかった…


明の隣で円堂がばっ、っといきなり立ち上がった


「よーし。俺絶対、イナズマイレブンみたいになってやる、じいちゃんみたいに!」

『守兄、1人でなる気?」

「勿論、皆でさ!な?」

「「「おおーっ!」」」


イナズマイレブンみたいになる。全員が円堂とそうなる事を決意した。そして、円堂と明は家路につき、今は晩御飯中だ。


「おかわり!」

『もう守兄、何杯目?食べ過ぎ!』

「そうよ、あんた一人のせいで洗い物終わんないんだから」

「わかってるよ!超高速食い」


本当にわかってるのか…明は肩を竦めながら溜息をつき、温子お手伝いをし始めた。そんな時、円堂は手を止めて、ふと、温子に質問する

「ねぇ、じいちゃんイナズマイレブンだったの?」


ねぇ、そうなの?と純粋に質問していた。明は洗い物をしている温子を横目でちらりと見ると複雑そうな顔をしていた。そして返ってきた答えは、そんな昔の答えは知らないだった…。二人は晩御飯を終え自室に向かう


『守兄のバカ。母さんにそれは聞いちゃダメじゃん』

「仕方ねぇだろ、気になったんだから。でもさ、かぁちゃん本当に知らないのかな?」

『さぁ…?』

円堂はリフティング。明は学校の宿題をしているとき、コンコンとノックの音。円堂は慌ててイスに座った。


「なに?」


母さんだと思っていた二人の元にやってきたのは、父さんだった。


「なんだ、父さんか」

「いつの間にか中学生っぽい部屋になっちゃったな」

『部屋だけね。頭はまだまだ小学生だよ、父さん』


円堂は、ムスッとした顔をする。それを見た二人は楽しそうに笑う。そして父さんはFFのポスターを見る


「サッカー、好きか」

「『うん!』」

「母さんは好きじゃない。知ってるだろ?母さんはサッカーがおじいさんを不幸にしたと思ってるんだ」

『何が、あったの?』


そう聞くと父さんは首を横に振り知らないと答えた。父さんは立ち上がり、円堂の肩と明の頭をポンポンと叩いた後、「男の子も女の子も何かに熱中するもんだよ」そう言って、部屋を後にした。


そして翌日、今日は河川敷で野生中との試合に向けて練習をしていた。皆はそれぞれ自分に合った練習方法で必殺技を見出そうと、ボールと格闘していた。が、何も良い案も浮かばずただ時間だけが過ぎていった。








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