認める、なんて

なぜか。だなんて理由は分からない。ただじりじりと、心臓が焦げ付いたように熱いとは感じていた。眉間の皴がさらに深くなる。


自然と思い浮かんでくる顔。耳から一向に離れない声。一つ一つの動作。全てが一致して、頭の中ではある特定の人物像が浮かび上がっていた。


「くそっ、」


何なんだ、これは。何でアイツが出てくる。何で俺はこんなにもアイツの事を考えてる。


「あっ!京介君、こんなところにいたんだっ!」


自然に肩が小さく揺れる。本当に柄にもないと思った。遠くの方から近寄ってきた名前がニコニコと笑みを浮かべながら今、俺の目の前で止まっている。


「なんだよ、用か?」

「用っていうか…部活一緒に行こうかなって思って」


始終笑顔のコイツを見てると、なぜか口元が緩みそうになる。だけど、そんな事、俺には出来ない。プライドが許さない。


「……」

「えっ、ちょっ、京介君?」


いてもたってもいられなくなって、俺は、すぐさま、サッカー棟へ足を向ける。名前は今だその場に立ち尽くしていて、とても間抜けな表情を見せていた。


「何してんだ。さっさと来い。置いてくぞ…名前」


冷たく、素っ気なく言えど、名前は嬉しそうに小走りで俺のところまで走ってくるんだ。


「まっ待って!」


呼べば笑顔でここまでくる。まるで犬みたいだ。さぁ早く来い。けど、まだ来るな。矛盾した気持ちが自分勝手に行き来していた。


【認める、なんて】
出来るわけないだろう
(この俺が)
(恋なんて)
(有り得ない)

七海様、今回はリクエストありがとうございました!
初めての剣城夢楽しく書かせていただきました。けど、凄く短いです。本当にすみません。かなりのグダグダなものですが喜んでいただければ嬉しいです

2011.12.6 夢桜

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