三人兄妹みたいだね

「名前、明日は暇か?」


週末にお兄ちゃんに買い物付き合ってくれと誘われた。勿論お兄ちゃんの誘いを断る用事もなければ、行きたくない通りがない私は二つ返事で了承した。

私は前日からとてもわくわくしていた。

お兄ちゃんとお出かけなんて、そうそうあるわけない。それにお兄ちゃんが中学に上がったとたん急に忙しくなって、置いて行かれた気さえしていた。だか明日は違う。そう思うと、なんだか小さなころ遠足の前日になかなか眠れない。なんていう在り来りな現象に陥った。

その所為で朝はかなり寝坊してしまった。それはもう急がないと絶対間に合わない時間だ。これでもか!と思うくらい慌てて支度をする。

定時になるはずの目覚まし時計は鳴る事はなく、意味もなく枕元に置いたままになっていた。

昨日の自分が本当に嫌になった。とりあえず急いで着替えて部屋を出ないとヤバイ。昨日悩みに悩んで考えた服に腕を通しす

下に降りれば秋さんに朝ご飯の事を聞かれた。しかし本当に時間がもうない。


「すみません、今日はいいです」

「今日はお兄さんとお出かけだったっけ?ゴメンね、起こしてあげたらよかったわね。」

「そっそんな、迷惑かけれないですよ。それに起きない私が悪かったんです。あっ、じゃぁ、秋さん行ってきます」

「いってらっしゃい。名前ちゃん。楽しんで来てね」


玄関へと行き靴を履き、急いでこがらし荘を出る。待ち合わせは駅前だから、ここからだと時間ギリギリ。


このまま遅れたら久々のお兄ちゃんとのお出かけに支障が出るし、誘ってくれたのに申し訳ない。

着いたときには待ち合わせ時間はやはりギリギリで、お兄ちゃんはキョロキョロと私を探していた。


「お兄ちゃん、ごめんなさい、待たせちゃって…」

「いや、大丈夫だ。」

「おっ来たか」

「えっ…」


乱れた呼吸を整えながら、顔をあげれば、お兄ちゃんの後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

お兄ちゃんの後ろから出てきたのはピンクのツインテールが印象的な霧野先輩だった。


「きき、霧野先輩!?」


まさか、お兄ちゃんだけかと思っていた今日のお出かけはお兄ちゃん親友である霧野先輩も同行するみたいだ。


「なんだ、神童言ってなかったのか?」

「悪い、忘れていたみたいだ」

互いに色々と話しているが、なんだかついていけてない私はポツンと一人で佇んでいた。

霧野先輩が来るんだったらもう少しオシャレすればよかったし、早起きして髪もいじればよかった。とちょっと後悔。


「名前、悪いな。霧野もいいか?」

「もっもちろん!」


自分でも信じられないくらいに何故かドキドキしてしまっていた。じゃぁ、行くか。っと歩き始めた二人。後ろから見れば、霧野先輩とお兄ちゃんはなんだか恋人どうしに見える。男の子なのに可愛いって羨ましい。

大好きなお兄ちゃん。頼れる霧野先輩。親友である二人は互いに楽しそうに笑っていた。仲の良い二人の事が好きだし、一緒にいるのも幸せな気分になれる。だけど、なんだか寂しくなった。

だから、私は二人に少し思い切った行動を起こしてみた。肩を並べて歩く二人の間に無理矢理押し入る。そして両方と腕を組んでみた。


「お兄ちゃん!霧野先輩!」


わっ!っと二人の驚きの声が漏れた。その後二人はキョトンとした表情になる。そして、互いに顔を見合わせた後に何故かクスクスと笑いはじめたのだ


「いきなりどうしたんだ、名前」

「んー、気分。」

「なかなか甘えただな。部活とはえらい違いだ」

「そっ、そんな事っ」

「そうだぞ、霧野。名前は家ではいつもこんな感じだ」

「お、お、お兄ちゃん!言わなくていいの!」


なんだか家の事を霧野先輩に知られるのが恥ずかしかった私はお兄ちゃんに対して制止をかけた。だが、時すでに遅し。霧野先輩は私達を見てケタケタと笑い出し始めたのだ。


もぉ、全部兄ちゃんのせいなんだから!


そう思って二人より身長の低い私は下から二人の様子を盗み見る。そこには楽しそうに笑う二人の姿。

そんな二人を見ていたら、なんだか怒る気すらも無くなって、二人の腕に絡む自分の腕に少し力を込めてみた。


そんな私を二人が愛しそうに見ていたなんて、私は知らない。


【三人兄妹みたいだね】
私とお兄ちゃんと霧野先輩と
(兄妹みたいって言えば)
(苦笑いの二人が)
(そこにいた)

彩様、リクエストありがとうございました!
あまりにも意味が分からない話で申し訳ないです。ほのぼの感が出ていれば嬉しいです!

2011.11.27 夢桜

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