私の幼なじみはバカだ。それも極度のサッカーバカ。ひたすら追い求める物はサッカーボール。そして年がら年中サッカーの特訓。そういう奴である。
そんな彼が、だ。今私になんて言ったんだろう…
「名前、おっ俺と付き合って欲しいんだ!」
付き合って、欲しい?あぁ、そうか。あれだ、サッカーの特訓にだ。いつもの癖で主語が抜けてるんだな。あぁ、びっくりした。
「うん、いいよ!今日は鉄塔広場?それとも…河川敷?」
「そっそうじゃなくて…!」
「えっ…?」
じゃあ、なに?そう聞けば守は私の肩をがっと掴み真剣な表情をしながら、名前!っと私の名前を呼んだ。
「おっ俺…好きなんだよ!」
「サッカーが?」
「違うって!いや、サッカーも好きだけど。じゃなくて…さっサッカーより名前が好きなんだよ!」
へっ?えっ?っとマヌケな声が不意に出た。そして、一気に熱が顔に集まっていく
「え、あっ…あの…まっ、まも、る?」
「おっ俺、気づいたんだ…いつも名前はずっと俺の傍にいてくれただろ?」
そう、私はずっと守と一緒だった。幼稚園に入る前からずっと一緒。確か…かれこれもう10年以上の付き合いになる。この付き合いは他の女の子に負けない自信はある
先ず彼との思い出は二人で一緒にサッカーボールを蹴り合っていたこと。そして、泥だらけになりながらも一緒に特訓していた光景だ。
そう、私たちはこれまで、兄妹のように育ってきた幼なじみ。
私は守の事なら誰よりも知ってる自信がある。サッカーの事になると熱心になって、誰よりも熱くなる。周りが見えない事も多々あるけど、それでも持ち前の明るさで、色んな人から慕われる良いキャプテン。誰よりもサッカーを愛するサッカー少年。
そんな守が、恋愛には全くと言っていいほど疎い守が…私を好き…?
「だっだから、これからもずっと俺の傍にいて欲しいんだっ!」
まるでボールを受け止めるときのような真剣な目。真っ赤な顔をしながらも必死に私を見る強い目。
あぁ、私はこの守の目が好き。そして小さい頃から何も変わらない真っすぐな彼が大好きだ。
「私も…好き」
「えっ…」
「私も守のこと、大好きだよ」
幼なじみで、親友で、一緒にいて一番当たり前と思える守がすごく大切。そう心から思えるんだ。
「名前!俺今すっげぇー嬉しい!」
「まっ守!?」
子どものようにぎゅぅーって抱き着いてきた守をあやすように抱き留めた。
【君の全てを受け止める】
なんて、ね。
(いつも)
(受け止められてるのは)
(私の方。)
END
ねこ様、リクエストありがとうございました!
円堂くんが初すぎて、とてつもなく恥ずかしいです。その上、キャプテンがキャプテンじゃなくなったという不名誉…
ですが、幼なじみ設定とても美味しかったです!ありがとうございました!
2012.2.8 夢桜