よし、今日こそは話しかけるぞ。そう誓って早一週間、結局俺は彼女に話しかけることができていないまま、今ここにいる。“彼女”は隣のクラスの奴で、なんていうか、えっと、すごく可愛い。規則正しくちゃんと着ている制服、サラサラの髪の毛、宝石みたいな瞳、すらっと伸びる手足。何もかもが俺のストライクゾーンだった。 だから、俺は放課後になると彼女のクラスへ行き、教室の前で待って話しかけようとしてる。しかも運がいい事にこのクラスにはヒロトと風介がいる。(あまり俺的には嬉しくないけどな。)だから、俺がこのクラスに来ても怪しくはない。 とりあえず、あの二人を待つように外で待っている。彼女が教室から出てきた。あっ、なんか無理だ。彼女を見た瞬間、すぐに後ろ方の出口に移動しまった。くそっ、俺ってこんなにヘタれだっか?そうこうしているうちにもうすぐヒロトと風介が来るだろう。たくっ、さっさと来いよ、あのバカ共。 さっさと部活に行って、思いっきりシュートを決めて、このもやもやした気持ちを晴らしたい。そんな事を思ってると教室から出た彼女がいつも下りる階段と逆方向に歩いてくる。つまり、俺のいる方に来る。な、なんでこっちに来るんだよ。やべぇ、心臓が持たねぇ。俺は彼女がさっさと俺の前を通り過ぎるのを待つので精一杯だ。 「あの、」 一体誰にしゃべりかけているんだ?ふと気になって周りを見渡すがそこにいるのは彼女と俺だけ。と、いうことは… 「俺?」 「あ、はい」 冷静ぶった声を出す。可愛いソプラノの声が俺の鼓膜を震わせる。 「なんか用か?」 心臓バクバク状態。それでも俺は必死にそれを隠す。 「これ、落としましたよ?」 彼女が差し出したのは、この前ヒロトに無理矢理鞄に付けられたキーホルダーだった。 「あ、サンキュー…」 キーホルダーを受け取るとき、そっと手が触れた。 「じゃあ、私はこれで」 にっこり微笑んだ彼女が去ろうとしたときだ。 「ちょ、ちょっと待ってくれ!」 俺は思わず大声で引き止めてしまった。ああ、きょとんとした顔も可愛い。 「な、なんでこれが俺のだってわかったんだ…?」 確かに、ヒロトに付けられたのだから俺のだと分かるはずだ。だけど、これを付けたのは昨日ぐらいだ。違うクラスなのだから鞄についてるキーホルダーの事などわかりはしない。どうしてこれが俺のだとわかったのか本当に不思議だった。 「それ、基山君と涼野君が友達にあげるって聞いてたから」 「ヒロトと風介から?」 「うん。それね、私が旅行に行ったときのお土産。みんなに渡したんだけど、一個余っちゃったの」 彼女はキーホルダーを指を指しながら笑う。 「南雲晴矢君」 「俺のこと、知ってるのか…?」 すると彼女は一瞬驚いたような顔をして 「サッカーしてるところとか、基山君と涼野君といつも一緒にいるところとか見てたから」 そう言って、はにかんだ。 「南雲君。部活、頑張ってね」 彼女が去ってから、俺はキーホルダーを手の平に乗せたまま、その場を動けなかった。この後、教室からこの様子を見ていた二人に死ぬ程からかわれたのは言うまでもない。 【始まりはキーホルダー】 これが俺と望月との初めての会話 (はーるや、いやぁ、よかったね!) (ふっ、我々に感謝しろよ) (おっ、お前らなぁぁぁ!!) END あぁ、晴矢格好良いよ!! 晴矢は若干純粋バカぐらいが好き。だけどやるときはやる男です。つまり何が言いたいかというと、南雲晴矢が好きなんですっ!(`・ω・´)キリッ ちなみに、裏設定。 ヒロインちゃんは一個お土産が余ったと言っていましたが、実際は晴矢君の為に買いました。晴矢君に渡す勇気がないのでヒロトと風介に頼みました。 ……なんだこれwww |