稲妻11 | ナノ



朝、窓から日の光が差し込んでいる。時刻は8時をまわろうとしていた。今日は別に日曜日でも、休日でもない普通の日。つまり学校があるわけで、そろそろ出ないと本当にヤバい時間だ

なのに、俺の目の前で気持ち良さそうに寝ているこの幼なじみは一向に起きようという気配を見せないのだ


「おい、起きろよ!本当に遅刻しちまうぞっ!」
『んー…次郎…後10分だけぇ…』


もそもそと布団から顔を出す明。欠伸のせいで目は潤んでいて、微かにパジャマの隙間から小さい胸が見え隠れしていた。

実際男が女の部屋にいるという事はおかしいな話だ。だけど俺達は幼なじみだからという理由でそんな話は無くなる。でも、まぁ…俺も一応健全な男子中学生なわけで…好きな奴のこんな姿を見るのは、その…目のやり場にとても困るわけだ


「ダメだ。もう遅刻ギリギリなんだぞ?
このままじゃ、俺まで遅刻しちまうだろ!」
『じゃぁ先に行けばいいじゃんか。てか、私次郎に起こしてなんて頼んでないよ』

「もう仕事に行かないといけないからっておばさんに頼まれたんだよ」
『母さんめぇ…あぁ、もう分かったよ…
起きる、起きればいいんでしょっ!』


そういうと、もそもそと布団から出て明の奴はいきなりパジャマに手をかけ着替えようとした。

しかも、俺の目の前で、だ…

確かに小さい頃からの馴染みがあるわけだから、別に恥ずかしがるような事はない。だけど、いつからだろうか、コイツの事を好きだと理解したその日から今まで普通に出来た事が出来なくなってしまった。

それなのにこの馬鹿な幼なじみはいきなり俺に抱き着いたりするのだ

危機感がなさすぎると思う。

本当、一応俺も男なんだけど…


「おっ、おい!お前、いきなり脱ぐなよ!」


『そんな今さら恥ずかしがる事ないでしょ?』

「っ、たく…」



俺は後ろを向いてコイツの着替えが終わるのを待つ。えっなんで、部屋を出ないか、だと?そんなの、コイツは俺がいなくなった途端に寝てしまうからだ。

つまりコイツは俺が部屋から出ていく事を期待している


『次郎、なんで部屋出ないの?』
「俺が出てったらお前絶対に寝るだろ」
『ちっ…』


お前の考える事などお見通しだ。でも、まぁ…あれだ…

目の前で今普通に着替えているという事はコイツは俺の事を男だと理解していないのだろうか。どういう理由であれ、男の目の前で着替えるのはどうかと思うのは俺だけなんだろうか…

ちらっと時計を見れば時刻はすでに8時15分をまわっていた。あぁ、確実に遅刻だ…


『次郎、』

「…なんだよ、明」
『もう完全に遅刻だね』
「あぁ、お前のせいでな」


明は「そんな事ない」と言い張るが、まぁ、完全にコイツのせいなわけだ。でも、まぁ若干俺も学校に行くのも諦めかけている

『学校、今日休みたい』
「はぁ…まだ寝足りないのかよ」
『ちっ違うよ』
「じゃぁなんだよ」


そろそろ着替えたかと思い振り向く。しっかりと帝国の制服に身を包んだ明の姿。


『あぁ…いや、その』
「…?」


いつもより顔を赤くさせながら、俯きながらおどおどしている明

なんなんだ、いったい。いつも活発なコイツがいきなりしおらしくなるなんて…。なんか、調子が狂う…


「明?」
『私が学校行かなかったら、次郎も…一緒にいてくれる、でしょ?』
「っ…!」


いきなり何を言い出すかと思えば、いきなり恥ずかしい事を言いやがった。なんなんだよ、くそっ…!意味わかんねぇ、なんでこんなに今日はこんなに可愛いんだよ…馬鹿


ずっと堪えていたのに、もう無理だ…


俺はとっさに携帯を取り出して源田にメールで休むと一言打ち込み送信する

そして携帯の電源を切る


『次郎?』



俺の行動に驚いたのか、明は首を傾げながら俺を見る。一つ一つの行動が可愛いと思ってしまう



「明、お前俺の事男だって思ってる?」

『へっ?きゃっ、じっ次郎!?』



コイツは何も分かっていないと分かった瞬間、俺は明をベッドに押し倒した。怯えて、目に涙を溜めているコイツの表情にゾクゾクした



『次郎、どうし、んっ!』



明の言葉を遮り、明の唇に無理矢理キスをした。嬉しいと思う反面…後悔と罪悪感が後ろについて回る


『じ、ろー…な、んで…』

「っ、好きな奴の無防備な姿見て、我慢出来る男なんていないんだよっ!」


『すっ好きな、奴…!?』


明は顔を真っ赤にしながら黙り込んで泣き出してしまった。

やってしまった…そう思った。こんな事をしてしまったんだ確実に明に嫌われた

下手をしたら、もう二度と話せないかもしれない

そんな恐怖が俺を襲う



「おい明、ゴメン、いきなり…俺…」

『う、うん…い、いの…。う、れしかった…から』

「嬉しかった?」

『わ、たしも…次郎の事好き、だった、から…小さい頃からずっと…。だから、早急のも驚いたけど…嫌じゃなかったし…だから、きゃっ』

「く、そっ、あぁ、もう…いい…!ありがとう、明…大好きだっ…」



俺は明をギュッと抱きしめて、再びキスをした


【寝ぼすけ姫を手中にいれて】
さて、今からどういたしましょうか
(まぁ…とりあえず、)
(我慢出来ないので…)
(いただきます。)

End