まともでない私。そして、まともな彼女。この地球を破壊し、我々宇宙人のモノにしようとしている私。それを阻止しようとしている…地球人の彼女。 私達はいつも対比していた。私が人間だったころも同じようにだ…。華のように笑う彼女と、全く笑わない私。存在自体が全くもって逆な私達。それでも私達は仲が良かった。互いに互いを理解してるつもりでいた。 「風介ダメだよっ!いくらお父さんの命令でも…こんな事しちゃ…ダメっ!」 「だが、私達にはこれしか出来ない…」 「でもっ!」 彼女は誰よりも心優しかった。そして、このお日様園が彼女は大好きだった。だけど、彼女は私達、エイリア学園を離れていった…いや、大好きだったからこそ離れたのかもしれない。 「なら、私達はこれでさよならだな」 「風介っ、考え直して!ヒロトも、晴矢も…こんなの可笑しいよ!!」 「…ゴメン、でも俺には父さんの命令は絶対だから」 「今回ばっかりはさ…我が儘、聞いてやれねぇんだよ」 彼女は泣きながら私達を必死に止めていた…だが、それは無理な話だ。もう私達自身が決めた事…これを変えることは出来ない 「い、や…だよ。ダメだよ、大好きなサッカーなのに。どうしてそのサッカーを使って悪い事をするの!?」 悲痛とも思える彼女の叫び。君が私達を理解さえしてくれたら、こんなに苦しむ事はないのにね…。だけど、彼女は心優しいから…人を傷付けるなんて行為、許せないのだと思う。 「これで、さよならだ…」 「風介…私、私…っ…」 「すまない…」 「っ…」 最後だと思いながら私は彼女の震える身体を抱きしめた。彼女の目からとめどなく溢れる彼女の涙を軽く拭う。泣かないで欲しい…彼女には笑って欲しい…。だけど、彼女の笑った顔を奪ったのは紛れも無い、私達… 「…ガゼル、そろそろ行くよ」 「あぁ、わかった…」 「ふうすっ…」 「私は風介ではない。マスターランク、ダイヤモンドダストキャプテン、ガゼルだ」 彼女の言葉を遮る。彼女は一瞬にして服が変わった私を見て目を丸くしていた。そして、震える声で問う 「ヒロト…晴矢?」 「僕は、ヒロトじゃない…グランだよ」 「俺は、バーンだ」 「う、そっ…だ…」 私の他に、グランもバーンも服が変わっていた。そして近くにあるのは黒いサッカーボール… 「みんな、行かないでっ!ヒロト、晴矢…風介ぇっ!!」 黒いサッカーボールをグランが高らかに蹴り上げる。あぁ、さよならの時間か… 「私は…お前の事が好きだったよ……」 「っ…」 私は彼女の身体を抱きしめて、最後になるかもしれない口づけをした。好きだった、愛していた…だけど… さよならだ 「あっ…あぁ…いやぁぁぁぁ!!」 最後に私達が見た彼女は、泣き叫ぶ彼女の声と絶望と悲しみに満ちている顔だった 【さよなら】 もし、また再びお前の前に立つ時、私はどんな顔をしているのだろうか… (そして、数ヶ月後) (敵対する雷門のユニフォームを着た) (彼女の姿がそこにはあった) End |