「ちょっと起きなさい、晴矢!」 「んー」 時刻は6時。普通ならまだ寝ている時間なのだが、今日はそうも言ってられない。今だ寝ている晴矢をたたき起こして、送り出さないといけないからだ。 「もぉ!今日は風介とヒロトとかも来るんだから、遅れたらまた小言言われるわよ!」 「ん…んー」 「はぁ…」 今日はプロサッカーの選抜試験。人生をかけた大事な試験だ。遅れるわけにはいけないのだ。朝が弱くて、寝起きも悪い晴矢を起こすのは一苦労ではある。 「晴矢ってば!」 今だに晴矢は起きない。あぁ、そろそろイライラしてきた。昨日あれ程早く寝ろと言っているのに“補給”などと抜かしていきなり夜遅くに私の布団に潜り込み、ヤりにきやがった。挙句の果てにこれだ。私だって腰が痛くて痛くて仕方がないというのに身体に鞭を打って支度してやっているのに…! 「晴矢!起きないと禁欲一ヶげ…」 「んなもん、認めるか!」 「うわ、はやっ…」 呆れを通り越して、もう感服してしまう速さだった。 「おはよう、晴矢」 「明!なに禁欲なんてふざけた事ぬかしてる!」 そっちか…。つくづく呆れる奴である。 「そんなに嫌なら早く準備する!もう時間ぎりぎりなんだから!」 睨みをきかせながら彼に命令すればぶつぶつ言いながらも準備を始める。さぁ、私は朝食の準備をしなくちゃ。 そう思った矢先の事だ。いきなり晴矢にぐいっと腕を引っ張られる。なんだなんだと思った瞬間、私は晴矢の胸の中に容易に収まってしまう。 「はっ晴矢!?」 離せ!彼の胸を押して抵抗する。けど晴矢は私の首元に顔を埋め、ぎゅうっと抱きしめる。そんな事をされれば、私はもう何も抵抗できない。 「明」 「っ…」 耳元でひっそりと名前を呼ばれる。すると身体は勝手にビクッ、っと反応してしまう。 「は、るゃ…?」 身体がおかしくなりそうだった。色っぽい彼の声に、酔いそうになる。 「…んっ、」 晴矢が身体を退かしたと思えば、いきなり唇を塞がれ、薄くあいた口内に舌を捩込まれる。わざとらしく音をたてながら私の口内を犯していく。頭に酸素が無くなってきてぼーっとして力が抜けていくのが分かる。 晴矢は満足したのか、数分楽しんだ後、少し距離を置く。だが、まだ距離的には近い。 「明、禁欲なんて無しだかんな!」 まだそれを引きずっていたのか。と苦笑いを浮かべる。晴矢はまだまだ子供のようだ。 「あっ、そうだ…なぁ、明」 「ん?」 「今日の選抜、頑張っから…起こしてくれてサンキューな」 照れながら笑い、晴矢は私に先程とは違うフレンチなキスを一つ落とす。そして、軽く私の頭を撫でて部屋を出ていく。そんな彼を見ると不覚にもキュンと時めいてしてしまった。 「っ、ばか晴矢…」 選抜に落ちて帰ってきたら、承知しないんだから…。そう心の中で思った後、私は部屋を出て彼の朝食の準備をしにいった。 【私は貴方の充電機】 朝から晩まで貴方の為に働きます (その分頑張らなかったら) (容赦しないわ!) END |