昼休みの事と6時間目の事があって、私の頭の中はぐちゃぐちゃ。しかも、彼の策略のおかげで、放課後にサッカー部の練習を見に行くはめになってしまった。 「明ちゃん、ここで見ててね!」 私の手を引きながら春奈は私をベンチの方へ移動させた。そして何人かの部員の人と挨拶を済ませた後、私はベンチへと座る 「おっ、明来たんだな!」 そんな中嬉しそうに守君は走り寄ってきてくれた。いつも通りの守君を見てなんとなく笑みが零れた。守君は本当何一つ変わらないな。 「うん。見学させてもらうね」 「あぁ!」 守君はニカッと笑ってからすぐにグランドへ戻っていった。 「あ、れ…?」 グランドを見渡せば沢山の部員達はいる。が、何故かいつも見馴れた彼が、いない 「何よ、勝手に呼んでいないって…馬鹿丸」 「誰が馬鹿丸だ!」 「ひぎゃっ!」 後ろから頭を押され、変な声が漏れた。ばっと後ろを見ればそこには彼の姿があった。 「後ろからは酷いよ!」 「お前が人の事を馬鹿丸だなんて言うからだろ」 若干怒りが見える彼を見てヤバイ。なんて思った。また墓穴を掘ったのかもしれない。 「おぉい、風丸!練習始めるぞ!」 「あぁ、わかった!」 後ろから守君の声が聞こえて、彼はそちらの方へと走って行った。一応助かったようだ。 「あら、貴女…」 「明ちゃん」 「秋先輩、夏美先輩!こんにちは!」 どうしたの?と聞く二人に挨拶をしてから、見学に来ました。と答えると二人は嬉しそうに笑ってくれた。本当先輩達可愛いな。 「明ちゃん、風丸君に呼ばれたんでしょ?」 「えっ、なんで分かるんですか!?」 「だって、風丸君、いつもより頑張ってるから」 秋先輩はクスクス笑いながら答えた。私は秋先輩が笑っている理由があまりよく分からなかった。ふとグランドを見れば頑張って練習する部員の姿が目に入った。その中には勿論彼もいるわけで… 楽しそうに走る彼を見ているとなんだか幸せな気持ちになった。彼を無意識に見ている私を女子マネ達がニヤニヤしながら見ていたのを私は知らなかった。 「よぉし、今日はこれで終わりだ!」 何時間たったかわからないが、日はもうすでに傾き始めていた。そんな中守君の声がグランド中に響き渡った。それを聞いた瞬間マネージャー達はタオルとドリンクを部員達に渡しに行く。 「明ちゃん、ちょっと手伝ってくれない?」 「あっ、はい、わかりました」 秋先輩に頼まれて、タオルとドリンクを受け取る。 「これ、風丸君に渡しに行ってね」 「えっ!あああ秋先輩!?」 よろしくね、と言った先輩は他の人達に渡しに行く。私は少し悩んでから意をけして彼の元へと走る。 「こっこれ…!」 彼の前へ出て、タオルとドリンクを差し出す。なんとなく恥ずかしくて、渡す瞬間に俯く。 「あぁ…ありがとうな、明」 ふわっと笑う彼の笑みに、胸が高鳴る。彼はタオルとドリンクを受けとった後、ぐしゃっと私の頭を撫でる。なんか気持ちいい…。 「じゃな、帰り待ってろよ」 撫で終わった後、頭をポンポンと軽く叩いてから、彼はベンチの方へ戻っていった。私は撫でられた頭を抑えながら、その場で彼の後ろ姿を見つめていた。 【あぁ顔が、熱い】 それもこれも全部全部、貴方の所為 (彼のあんな顔を見れたんだ) (秋先輩達に) (感謝しないと…) To Be The Next |