I’m crazy about you.


冷房の効きすぎているオフィスで黙々と仕事をするフリをしながら、斜め向かいの席に座る彼の姿をちらちらと盗み見る。仕事中の彼を見るのが好きだ。スーツ姿は当たり前にかっこいいし、ノーネクタイのこの時期限定のちらりと見える首筋も、外線で話しているときのいつもと違う他所行きの声も、受話器を肩に挟んで何かメモしている姿にすらいつもきゅんが止まらなくて大変だ。あー眼鏡とか、かけてくれないかな、なんて。
好きな人の素敵な姿を見ることができるこの仕事が、毎日毎日楽しくて仕方がなくて、その姿を見るために仕事に来ているようなものだった。不純な動機だとは思うけれど、仕事のモチベーションが上がるんだから、悪いことではないと思う。やるべきことはちゃんとしているんだし。手を動かしつつそんなことを考えていたら、ちらりとこちらに視線をやった場地さんと目が合った。

「見 す ぎ」

声に出さずに唇を動かした場地さんがふっと小さく笑って、その瞬間わたしの心臓は見事に撃ち抜かれた。ずきゅん、という効果音が脳内に駆け抜ける。なに、今の。ほんっとズルい。恐らく真っ赤になってしまっているであろうわたしの顔を見て満足そうな顔をした彼は、パソコンの画面に向き直り何事もなかったかのように仕事を再開した。

場地さんと出会ったのは1年と少し前。新卒で入社した会社で、同じ部署に配属されたことがきっかけだった。しかし同じ部署と言えど内勤のわたしと外勤の場地さんが関わることはそう多くはなく、業務連絡以外ほとんど話すことのないまま、あっという間に1ヶ月が過ぎた。その頃には威圧感のある低い声にも、鋭い目つきにも、たまに感じる煙草の苦い匂いにも、すっかり苦手意識を持っていた。
同期で飲みに行こうと話していた金曜日。わたしはいつも通りに定時で仕事を終わらせて、他のみんなを待っていた。そのとき一緒にいた仲の良い同期の女の子が「仕事終わりの一服させて」と言われて、みんな意外と吸ってるんだな、と思いながらついて行った。

「ここで待ってるね」
「ごめんね〜」
「いいよ、ごゆっくり」

同期が小さく仕切られた箱の中に入っていくのを眺めてから、ほとんど来たことのない喫煙所の前で壁に背を預けぼーっとしていると、喫煙室から出てきた自分の課の先輩に気付いて慌てて頭を下げた。

「あ…お疲れ様、です」
「おー、お疲れ。珍しいな、こんなとこにいんの」

場地さんと話すのは、いつも緊張してしまう。怒られたことがあるわけでもないけれど、なんとなく、苦手な先輩だったから。あれ、ミョウジサンって吸うんだっけ?と場地さんに聞かれて、小さく首を振った。会話が続けられたことに、少し驚いた。

「えっと、同期を、待ってて」
「あ、そうなん」

吸うのかと思ってちょっとびっくりしたワ、そう言った場地さんの、笑った顔をそのとき初めて見たような気がする。小さく口角を上げた彼に、あ、この人ってこんなふうに笑うんだって思ったことを、よく覚えている。

「猫飼ってんの?」
「え?」
「あ、悪ぃ勝手に見て」

気持ち悪いよな、と謝った彼にわたしは慌てて首を横に振った。わたしが持っていたスマホの待ち受けが見えたんだろう。実家で飼っている黒猫の、お気に入りの写真だった。

「猫、お好きなんですか?」
「猫っつーか、動物が好き」
「…へー」

ちょっと、いや、だいぶ意外だなぁ、と思ったけれどスマホの画面を場地さんの方に向けると「美人だな、こいつ」とさっきよりも柔らかく笑った顔に胸の奥の方が小さく音を立てた。きゅんって。あれ。

「名前は?」
「ジジです」
「黒猫でジジって、まんまじゃねぇか」
「えへへ、はい」

有名なアニメ映画から名付けられた愛猫の名前を聞いて笑った顔が、ちらりと見えた八重歯が、たまらなく可愛いと思ってしまった。年上の、それも会社の上司である男性に対して可愛いだなんて失礼かもしれないけれど。

「実家の団地にも黒猫飼ってるやつがいてさぁ」

その猫がたまに俺の部屋まで登ってくんだよ、と話す場地さんの楽しそうな顔に、心臓の奥がまた小さく音を立てる。ドキドキする。仕事で場地さんに話しかけるときもいつも緊張するけれど、それとは全然違う。心臓がうるさくて、でも心地良い。

「団地ってペット飼ってもいいんですか?」
「いや、多分だめ」

場地さんは意外とよく笑った。もうちょっとだけ話していたい、もうちょっとだけその顔を見ていたい、なんて。どうか友達がまだ煙草を吸い終わりませんように、と思ってしまったときにはもう手遅れだ。ついさっきまで苦手だった先輩は、たった数分で、なんだかいいな、と思う異性に変わってしまった。

それからちょっとずつ、本当にちょっとずつ、場地さんとの距離を縮めていった。毎日話しかける理由を必死に探して、飲み会のときは場地さんの隣に座ってみたりして。定番だけど、ネクタイを緩める姿を見ただけで更に好きを募らせてしまうわたしはちょろい女だと思う。わたしの終わらない残業に付き合ってくれた場地さんに「お礼に何か奢らせてください」と言うと、連れて来られたのは場地さんのお友達がやっているというラーメン屋さんだった。それからいつのまにか毎月末の残業のあとは場地さんとラーメンを食べに行くのが恒例になっていた。結局今まで一度も奢らせてもらったことはないけれど。

「まーた場地さんがミョウジちゃんにちょっかいかけてる」
「…うぜー」
「ミョウジちゃんも嫌なら言いな?」
「てかもう2人付き合っちゃえばいいのに」
「いやいや…」

2人で話していると、こんなふうに他の先輩たちに揶揄われるのも、良くあることだった。場地さんはいつも面倒臭そうな顔をしていたけれど、わたしはちっともいやじゃなかったし、場地さんもなにも否定しないからうっかり期待したりもして。そのうち休みの日にも約束して会うようになって、2人で動物園に行ったりもした。クリスマス暇?と聞かれたときは嬉しすぎて食い気味に「暇です!!」と返事をして笑われた。恥ずかしすぎて死にそうだった。溢れた気持ちが抑えきれなくなって、去年のクリスマスに「場地さんが好きです」ってわたしから告白したら「俺も好き」って少し恥ずかしそうに笑ってくれた場地さんの顔は、もう一生忘れられそうもない。やっぱり八重歯が可愛かった。

社内でわたしと場地さんが付き合っていることを知っている人はほとんどいない。場地さんはそういうことを言いふらすような人ではなかったし、それはわたしも同じだった。いや、付き合った直後は言いふらしたいぐらい嬉しかったけど。多分わたしと場地さんが付き合っているなんて、誰も思っていない。ずっと周りからはちょっと距離の近い先輩後輩、ぐらいに認識されている。別に隠していたわけではない。でも今まで誰にも聞かれなかったから、なんとなく誰にも言わずにここまできた。
まさかそのことをこんなにも後悔する羽目になるなんて、思いもしなかったのだ。
その日、出社すると見慣れない女性がいた。「支店から戻ってきたらしいよ」と同じ課の同期に聞いて、綺麗な人だなあ、なんて考えながら見ていると、ふと目が合った。にこっと笑いひらひらと手を振られたので軽く頭を下げる。

「あれ、お前なんでいんの」
「わぁ、場地くん!久しぶり!」

わたしより少し遅く出社してきた場地さんに声をかけられたときの、その人の明るく弾んだ声と表情に、どくんと心臓がいやな音を立てた。どうやら2人は同期らしい。同期なら、まぁ仲が良いのは分かるけど。今の顔は絶対それだけじゃなかった。こんなのは女の勘でもなんでもない。見れば分かる。あからさまだった。

「ミョウジちゃん、大好きな場地さん取られちゃうかもね」
「え…?」

こそっと話しかけてきた先輩の言葉に、心臓がどきりと嫌な音を立てた。

「あの人、前から場地さんのこと狙ってたらしいよ」
「あ…そうなん、ですか…」
「ちょ、ごめんミョウジちゃん!冗談だから!あの先輩結婚してるし!」

だからそんな泣きそうな顔しないで、と先輩に気を遣わせてしまった。わたしは相当やばい顔をしていたらしい。慌てて目元にきゅっと力を込めた。しかしそのあと聞いた噂に、わたしのテンションは更に下がることになる。その日の昼休み、少しでも落ちたテンションを取り戻そうと新作のフラペチーノを買いに同期と会社のすぐ近くのスタバに寄ったのが間違いだった。近くの席に座っていた他部署の先輩たちの会話を、偶然聞いてしまったのだ。

「あの人離婚したらしいよ〜」
「え、マジで?」
「うわー、だからあんなに場地さんとこガンガン行くんだ」

場地さん、と聞こえてすぐにあの人の話だと分かった。盗み聞きは良くないと分かっていても、こんな状況ではつい聞き耳を立ててしまうのは仕方のないことだと自分に言い聞かせた。

「バツイチでもあんなに綺麗な人に言い寄られたら誰でも嬉しいでしょ」
「確かに。胸も大きいし?」
「でも場地さんってミョウジちゃんと付き合ってるんじゃないの?」

突然話に出てきた自分の名前にどきっと肩が跳ねた。どうやらわたしが近くにいることには気がついていないらしい。聞かなきゃいいのに、聞いたっていいことないのは分かっているのに。石みたいに固まってしまった身体は、そこから動けそうもなかった。

「あの2人付き合ってるわけじゃないんでしょ?」
「そうなんだ。仲良いから付き合ってんのかと思ってた」
「わたしも狙おうかな、場地さん」
「勝ち目ないでしょ、やめときなよ」

この場合の勝ち目がないのはわたしに、ではなくあの綺麗な場地さんの同期に、だということはわざわざ確認しなくてもわかる。やっぱり聞かなきゃ良かった。場地さんの隣に立つにはわたしは相応しくないと言われている気がして、鼻の奥がツンとして視界が歪んだ。事情を知らない同期はとつぜん泣き出しそうな顔をした「え、どうしたの!?」と慌ててハンカチを差し出してくれたけど、「ごめん」と言ってそれを目に押し当てることしかできなかった。こんなことで泣いてしまう自信のない自分が嫌いになりそう。ゲームのようなステータスゲージがあったとしたら、わたしのHPゲージは今確実に赤くなっていると思う。そんなわたしに追い打ちをかけるような出来事は更に続く。
オフィスに戻ると場地さんのデスクにはあの人がいた。普段場地さんが使っている椅子に座って、隣に立つ彼に上目遣いで可愛く微笑んでいる。2人がお似合いだと思ってしまって、自分のメンタルがゴリゴリと削られていくのが分かった。もうほんとにやめてほしい。場地さんが迷惑そうな顔をして「早く退けよ」と言っているのだけがちょっと救いだった。

「今日同期集めてみんなで飲みに行こうよ」
「無理」
「じゃあ2人で」
「もっと無理」
「えー、場地くん今彼女いないんでしょ?ていうかもうみんな誘ってあるんだけど」

ちらりと場地さんがこちらを見た。一瞬かち合った視線から先に目を逸らしたのはわたし。ねぇいいじゃん、と場地さんの腕に触れようとしたのを見て、あ、もう無理、と思って慌てて立ち上がりその場を立ち去った。既に真っ赤だったHPゲージがご臨終した瞬間である。昼休みが終わる少し前にふらふらとオフィスに戻り席に着くと、場地さんがわたしのところまでやってきて「ナマエ」とわたしを呼んだ。呼ばれた瞬間心臓がフワッとなった。そしてオフィスが明らかに騒ついた。そりゃそうだ。だって普段場地さんは会社でわたしのことを下の名前で呼んだりしない。

「ちょっとこっち来い」
「えっ、あ、ちょっと!」

周りから痛いほどの視線を感じながら、強引に腕を引かれて連れて行かれたのは喫煙所の前だった。昼休みが終わる前だからか周りに人はいなくて、煙草の煙の混ざり合った何とも言えない空気が足元に充満していた。腕を離されたかと思ったら、次の瞬間視界がブルーのシャツでいっぱいになる。大好きな彼の匂いに混じって汗と煙草の匂いが鼻を掠める。薄いシャツ越しに熱を感じて、場地さんに抱きしめられていると理解するまでに数秒かかった。喫煙所で稼働している換気扇のモーター音とシャツの擦れる音がやたらと耳につく。

「ば、場地さん、ここ会社…っ」
「ばか」
「え…」
「言いたいことあんなら言えよ」

耳元で聞こえたのは呆れたような、でもどこか楽しそうな声だった。それから、やっぱりみんなの前で名前を呼んだのはわざとだったんだって思った。今まで誰にも言わなかったくせに、本当にずるい。

「……別に、飲み会行くのが嫌とかじゃないんです」
「うん」
「でも、あの人と2人になったりしたらそれはちょっと…嫌だなって」
「ちょっと?」
「…だいぶ、かなり…いや、です」

わたしの言葉を聞いて抱き締めていた腕をゆるめた場地さんは、思った通り満足そうな顔をしていた。真っ赤になっているであろう顔を見られるのが嫌で、今度は自分からその大きな背中に腕を回した。

「ここ、会社だけど」
「場地さんのあほ」
「上司に向かってあほってなんだよ」
「…彼氏だし」
「あー、もうやめろそういうの」

こんなとこで煽んな、と軽く頭を叩かれる。全然痛くないけれど。満足そうに目尻を緩めた場地さんに、こんなときでもきゅーっとなるわたしの心臓は相変わらずちょろい。

「お前も来れば。飲み会」
「えっ!?いや、いいですよ!せっかくの同期の飲み会ですし…」
「別に誰も気にしねーよ。どうせ同期以外も来るだろうし」

そうは言ってもその飲み会に参加する勇気も図太さもはさすがに持ち合わせてはいない。今場地さんと一緒に飲み会に参加するなんて、色んな意味で恐ろしすぎる。

「あの、飲み会はいいんで、」
「なに」
「場地さんの家で待っててもいいですか…?」
「……お前さぁ、ほんっとそういうとこな?」

はぁ、と溜息を吐いてからもう一度、今度は力一杯ぎゅうっと抱き締められた。ちょっと苦しかったけど、抱き締められる前にちらりと見えた場地さんの照れ顔に、今日1日で減りに減ったHPがあっという間にフル回復してしまうんだから、わたしってやっぱり単純だ。

「あー…今日泊まる?」

その言葉の意味がわからないほどわたしだって初心ではない。明日も仕事なのは分かっていたけれど、隠しきれない欲を孕んだ熱っぽい目で見つめられると、わたしは小さく頷くことしかできなかった。昼休みの終わりを告げるチャイムを聞いて慌てて2人でオフィスに戻ると、いろんな人に質問責めにされたのは言うまでもない。



「別に行かなくてもいい」と言う場地さんをなんとか飲み会へ送り出し、わたしは彼の家へと向かった。合鍵を鍵穴に差す手が少しだけ震える。付き合って数ヶ月経つけれど、1人でこの部屋に入るのは初めてだ。

「お邪魔しまーす…」

当たり前だけど返事のない部屋に足を恐る恐る踏み入れると、その瞬間に感じる彼の匂いがちょっと好きだ。変態っぽくて言えないけど。1人で場地さんの家にいる状況に落ち着かなくて、シンクに置きっぱなしにされた恐らく朝使ったであろう食器と、ベランダに干されたままになっている洗濯物を、勝手にすいません、と思いつつ片付けた。それからシャワーを浴びて、ここに来る前に買ってきた新しい下着をつけた。いつも置かせてもらっている自分用のパジャマじゃなくて場地さんのTシャツを借りたのは、一応そういう展開を期待してのことだった。コンビニで買ってきた簡単な夕食を済ませると結局また何もすることがなくなってしまって、ソファに座ってSNSをチェックをしているうちにいつのまにか眠ってしまっていたらしい。ガチャガチャと玄関の鍵を開ける音で目を覚ました。

「場地さん、おかえりなさい」
「…ただいま」

慌てて玄関まで行って出迎えると、わたしの格好を見た場地さんが数秒固まって、それからぎゅっと抱き締められた。それも束の間で、軽々と抱き上げられたかと思ったら足で靴を脱ぎ捨てて鞄を放り投げ、そのまま寝室へと連れて行かれた。

「えっ、えっ?」
「お前が悪い」

ぼふっとベッドへ放り投げるようにして雑に押し倒され、視界は天井と場地さんで埋め尽くされる。大きいTシャツの裾から無遠慮に差し入れられた手がいきなり膨らみに触れてくるから、焦って身体を起こそうとしたけれど、わたしの腕は簡単にベッドに縫い付けられた。

「い、いきなりですか!?」
「そうしてほしくてそんな格好してんじゃねーのかよ」

欲に染まった目で見つめられて、ごくりと喉が上下する。どうやらTシャツ作戦は効果抜群だったらしいけど、まさかこんなにいきなり押し倒されるとは思っていなかったし、こんなに激しくされるとも思わなかった。途中で根を上げたわたしが「明日も仕事なのに」って言えば、「お前の分の書類俺に回せば」なんて言うから本当にそうしてやるって心に誓いながら、与えられる快感に素直に身を委ねた。

ずりずりと身体が上へと逃げると「こら、逃げんな」なんて言いながらも、ヘッドボードにぶつかりそうな頭を抱えるようにしてくれたりとか、「あんま大きい声出すな」と言って乱暴なキスで口を塞いでくるところとか、終わった後に必ず腕枕をしてくれるところとか、自分だって眠いのにわたしが寝るまでは先に寝ないところとか。見た目は怖いのにえっちのときは意外と甘いのがツボすぎる。もう全部、全部好き。この人のこんな顔を知っているのはわたしだけだっていう優越感がたまらない。

「場地さん」
「なに」
「好きです」
「…知ってる」
「すき、だいすき」
「あーもう分かったから、はよ寝ろ」
「えへへ、おやすみなさい」

わたしが好きって言うと、呆れたようなフリをして嬉しそうな顔をするところも好き。


翌朝2人で出社すると、周りからはやたらとニヤニヤした視線を送られた。やっぱり時間ずらせば良かったと、居た堪れなくなってそそくさと自分のデスクについてパソコンを立ち上げた。いくつか届いていたメールに目を通していると、昨日の飲み会に参加していた先輩の1人が一際ニヤニヤしながら「ミョウジちゃんこれ見て」とスマホの画面を見せてきた。

「なんですか?」
「あっ、おいコラやめろ!」

慌てた場地さんの声が聞こえたけれど時既に遅し。目の前に翳されたスマホの画面には、片手にビールジョッキを持つ場地さんが映っている。どうやら昨日の飲み会で撮られた動画らしい。

『ミョウジちゃんそんな可愛いんすか?』
『は?ナマエのこと変な目で見たらコロすぞ』
『口悪〜!さすが元ヤンすね!』

スマホから流れてきた音声に、ぶわっと顔が熱を持つ。場地さんは知らんふりしてパソコンに目を向けているけれど、耳まで真っ赤だった。そういう可愛いところ、わたし以外に見せてほしくないんですけど、という言葉は必死に飲み込んだ。

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