title by サンタナインの街角で


「夢の国行きたい…」
「はぁ?」

休み時間、隣の席のミョウジがスマホを触りながらぼそっと言った。

ミョウジとは2学期が始まってすぐの席替えで隣の席になった。それまではほとんど喋ったこともなかったのに、喋ってみたらこれがなかなか気も話も合うおもろいやつやった。そんで連絡先交換して、最近ちょっといい感じ。毎日学校でも喋るけど家帰ってからもLINEしてて「このテレビおもろい」とか「明日の小テストの勉強した?」とか「眠いけど寝れへん」とかくだらん会話が続いている。ていうか正直終わらせたくなくて毎日寝落ちしたふりしてるし、そんな俺に「寝るん早ない?」って笑うミョウジがもう可愛く見えてしゃーない。そんで侑がおらんときはたまーに電話もしてみたりして、電話越しに聞こえるいつもと違う声にやたらとドキドキしたりもして。この前「あかん、もうねむい…」って甘えるような声出されたときは正直勃ちそうになった。こんなことミョウジには絶対言われへんけど。

要するに、ミョウジは最近ちょっと…いや、かなり気になる女子。


夢の国ってなんやねん、こいつついに頭おかしなったんか?そう思ってミョウジを見るといじっていたスマホを渡してきた。渡されたスマホの画面に映るのは世界的に人気なネズミのキャラクターとミョウジとのツーショット写真。どうやら夢の国とは東京(いや、あれは千葉か?)にあるテーマパークのことらしい。

「いや、もう行っとるやん(誰とや)」
「夏休みにな、家族で行ってん」

家族と、という言葉に心底ホッとする。
ていうか待って、私服めっちゃ可愛ない?フツーのシンプルなTシャツとデニムのショーパンやのにめっちゃ可愛く見えるんやけど、どういうこと?いやでも足出しすぎちゃうか?あーーー!俺もこんな可愛い格好したミョウジとデートしたい!そんなことを考えながら写真をガン見する。なんやねん、めっちゃ楽しそうやんけ。ちょっとミッ◯ーそこ代われや。

「これ他の写真も見てええの?」
「え?別にいいけど…」

ふーん…と言いながら指を左右に動かして、白いTシャツから下着がちらりとでも見えている写真がないか全神経を集中して探す。あ、うわ、これやばい。ショーで水被ってもろやん。あかんあかんこんなん見てたら勃ってまう。

「いや、見過ぎやろ…」

滅多に見ることのできない私服姿のミョウジの写真(主にブラチラしてるやつ)をしっかりと目に焼き付けるようにガン見していると、少しだけ顔を赤くした苗字が俺の手からスマホを取り上げた。ありがとう、今の表情含めて今晩のオカズにさせてもらいます。


「めっちゃ楽しそうやん」
「せやろ?写真見返してたらまた行きたなってん」
「でもユ◯バで良くない?近いし」
「ユニ◯も好きやけどさぁ、それはいつでも行けるやん?」

たまにしか行けへんからいいんやんか。そう言いながらまたスマホをいじりだしたミョウジに、頬杖をつきながら全力で平静を装って絞り出した一言はなんともそっけないお誘いの言葉。

「ほな今度行こうや」
「えっ」
「えっ、てなんやねんちょっと傷付くやんけ」

目を見開いてこちらを見るミョウジの顔がちょっとおもろい。嘘、可愛い。じわじわと自分の顔が熱なってくるんが分かって恥ずいけど、ここで目逸らしたら負けな気がしたからミョウジを見つめてたらふいっと目を逸らされた。

「…だ、だってバレー部めっちゃ忙しいやん。行ける日あるん?」
「あー…」
「ほら、無理やん」

呆れたように言うミョウジやけど、なんとなーくがっかりしたような声に思わず期待が膨らむ。前から薄々思っとったけど、これは本格的に脈アリってやつちゃう?

「バレー部が春高出たら応援来てくれるんやろ?」
「まぁ…吹部やしなぁ」
「ほな春高の会場東京やし行けるやろ」
「え、試合あんのに行けるん?あ、もしかして補欠とか…?」
「あほか!出るに決まっとるやろ」

分かってて言うミョウジの頭を小突く。冗談やん、そう言って照れたように笑った、滅多に見ない表情にドキッとする。いや、その顔は反則やろ…。

「決勝の次の日空けとけや」
「えー、バレー部絶対春高行ってな?」
「舐めとんのか。言われんでも行くわ」
「ん、楽しみにしてる」

照れた顔ではにかむように笑ったミョウジから、不覚にも赤くなっているであろう顔を隠すように机に突っ伏した。

ミョウジと夢の国に行く頃にはコイビト同士になってますように!!
でもやっぱり付き合えたら夢の国の前にユ○バやな。近いし。

きみの隣と隣のきみ

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