見上げた空は

見上げた空は蒼かった。


保健室を出て、神咲君の荷物を取りに行くために、陸上部の部室に向かう。


階段を降りて、運動場に足を踏み入れる。


冷たい空気が顔に当たる。


熱くなっていた顔にはちょうどいい。


体育の授業以外、滅多に運動場には来ない。


階段の上から見ているだけ。


「帰ろうか。」


そういって、神咲君は私に手を差し出した。


「あ!ごめん!嫌ならいいよ。」


「繋ぎたい」


慌てて手を引っ込めようとする神咲君の手を握る。


「あったかい」


神咲君の温もりが伝わってくる。


冷えきった私の指先が暖かくなってくる。


二人の温度が溶け合って行く―…


「あ!流星!」


空を見てそう叫ぶ。


空は既に暗くなっていた。


蒼い空にキラキラと輝く星。


その下を二人で歩いてる。


「あの、さ。新条さん


突然神咲君が切り出した。


「俺のこと、名前で呼んでくれない?その、もう、カレカノなんだし…」


少し顔を赤らめてる。可愛いな。


「うん。冬弥(とうや)くん。私も、名前で呼んで?」


「分かったよ。瑠実(るみ)


二人で見つめ合う。


頬が紅く染まる。まるで、さっきみた、夕陽の様に。


自然と笑みがこぼれる。


大好き。冬弥君。ずっとずっと。。。



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