卒業 静寂の中に轟く歌声。 最後の音を紡ぎ、天井を見上げる。 涙を流しながら退場し、 「3年間ありがとうございました!」 と体育館の後ろで叫ぶ。 誰もが涙を流し、目を赤くする。 ふと空を見上げる。 私たちの門出を祝福するかのように空はどこまでも青く澄んでいた。 校門で写真を撮り、別れを惜しみ、抱き合う。 今まで、会えることが当たり前だった。 毎朝学校に登校し、当たり前に教室に行き、当たり前に自分の机に座る。 そんな当たり前が、もう、できなくなった。 沢山の思い出が詰まった教室。 汗を流した体育館。 当たり前の日常に、終を告げるように、校内を歩く。 ありがとう。 ずっとずっと大好きです。 沢山の思い出をありがとう。沢山の言葉をありがとう。沢山の感動をありがとう。 この広い世界の中で出会えた運命。 同じ時代に生まれ、同じ場所に生きた。 生きる意味を、頑張る意味を与えてくれた。 ありがとう。さようなら。 (最高の思い出をありがとう。過ごした日々を忘れはしない。) [mokuji] [しおりを挟む] |