◆隠し味?(野獣呂遼)◆
「…やっぱり違う」
二杯目のイエロージンを空けた呂布がぽそりと呟いた。
呂布の左隣に並んでいた高順と陳宮がその言葉にそれぞれ顔を上げる。
「何がスか?」
「張遼が作ったものと、味が違う」
もう一杯、とグラスをカウンターに向けると、バーテンダーが頷いた。
「レシピや分量を変えているのでは?」
「いや、あいつはカクテルに関してはそういうのを守るほうだ」
高順と陳宮は一瞬顔を見合わせ、
「じゃあ、隠し味だ」
「隠し味ですね」
「だから、レシピには忠実な奴だと…」
呆れたような声を出す呂布にニヤーと笑い合うと、高順は人差し指を立てた。
「ヒントいちー、それはお金がかからないものです」
陳宮も真似て指を2本立てる。
「ヒント2、それは張遼殿しか入れられないものです」
訳が分からないという顔の呂布を尻目に二人で店員にグラスを渡し、
「俺ドライマティーニ、愛たっぷりめで」
「私はハイボール。愛は控えめに」
ウインクで応えるバーテンダーに、呂布はますます首を捻る。
笑いを堪えるような顔でグラスを運んできた店員からそれぞれ受け取ると、呂布のグラスに軽く打ちつけた。
「レシピさえ超える愛の力に、乾杯!」
* * * *
隠し味は、愛なんですよう!(ベタ)
野獣張遼は以前バーテンダーだったという設定、皆さま覚えていらっしゃるでしょうか。
ちなみにイエロージンはめちゃくちゃアルコール度数が高いので、弱いわたしは舐めることしかできません…。