約束【銀/神】



「ねぇ、銀ちゃん約束してほしいネ……」






『約束』








はぁ…

眠い。



「…んちゃん……銀ちゃん!」

神楽が俺を起こしている。



「んだよ、銀さんは眠いの!久しぶりの休日なんだからゆっくり寝かせてくれな。」


「銀ちゃんはいつも休日アル。それに今日は火曜日ネ。」

「いいのいいの。…んじゃおやすみ「あっ…結野アナがいるネ!」


「マジでか!どこ!」

「銀ちゃん引っ掛かったアル。」



…ったく…。このお嬢さんはどうして俺の睡眠妨害ばっかしてんだか。



「んで?何、どこに行きたいんだ?」


「どこでもいい。」

「はっ?別に俺じゃなくても新八に頼むみゃあいいだろーが。」

「………。」


あれ?黙っちゃったよ…神楽ちゃん…。
何だ…俺が何かしたか?

新八が帰ってきたら相談してみっか。


*****

「神楽ちゃんは寂しかったんだと思いますよ。」

「どういうことだ?」

「ほら、銀さん最近依頼が入ってずっと家空けてたじゃないですか。その間神楽ちゃん『銀ちゃんはどうしてるのか』とか心配してましたから。」

「へぇー、神楽もそういう可愛いところがあるんだな。俺はそこに驚いたぜ。」


なるほどね、神楽は拗ねてただけか。


「午後から神楽ちゃんとどこかに出掛けてきたらいいですよ。どうせ仕事もないですし。」

「そーだな。」

…新八よ、何か一言多くないか?
まぁいいや。たまには二人でどこかに行くのもいいだろう。




*****
「…なんでここに来ちまったんだ…俺達。」

今、俺達はお妙が働いている『スナックすまいる』にいる。
神楽に行きたい場所を聞いたらココだったんだから仕方ない。

「あら、銀さん、それに神楽ちゃんも。どうしたの?二人で?珍しいじゃない。」

「今日は銀ちゃんとデートアル!」

「神楽ちゃん、普通はデートでこんな所に来たりしないわ。」


…なんですか。
なんでそんな疑わしげな目で俺を見るんだ!

「アタシがここがいいって言ったアル。」

「そうなの?」

「そーだよォ。普通ならガキなんて連れてくるわけねーだろ。」

「確かにそうね。でも神楽ちゃん、どうしてここに来たの?」

「姐御の働く姿が見たかったからネ!……」



今日の神楽は何かおかしい。
いつもはこんな事を言う奴じゃない。







*****
「ねぇ、銀ちゃん……」

結局、行くところも見つからず、俺と神楽は近所の公園のベンチに座っていた。

「ん?」

「銀ちゃん、疲れてるみたいネ。」

「あぁ、そりゃ…まぁ…。」

「傷はまだ治ってないアルか?」

「すぐに治ったらいいんだけどな。」

…心配してくれてるんだな…

神楽は泣きそうな目で俺を見る。

「あんまり無茶するなヨ。銀ちゃんだって若くはないんだから。」

「うるせーよ!悪かったな!」

「だってあの時…銀ちゃん全然帰って来なかったアル…。アタシも新八も銀ちゃんのことが心配ネ…。」


…神楽…



「ねぇ、銀ちゃん約束してほしいネ。」

「何をだ?」

「あんまり無理しないでほしいアル。銀ちゃんが死んだら悲しいアル…耐えられないネ!」


このときわかった…


俺はどれだけコイツに心配かけたかってこと…




大きな瞳から落ちる涙を拭ってやって、そっと頭を撫でてやった。



「わーった。無理はしねぇよ。だから泣くな」





それからしばらく神楽は泣いていて…

正直、俺は一度もコイツのこんな表情を見たことがない。
これからはもっと無理しねぇようにすっか……








空はいつの間にか夕焼けに染まっていた……






end






『一言』
あー!!すみません!眠かったんですよ!本当に。
なんだかしんみりしてしまいました。
京次朗の回はしんみり系でしたからね。
神楽の銀さんを想う気持ち、伝わったでしょうか?

2008.09.23




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