携帯電話で…【土銀】


携帯電話で…


「お前が側にいないとどんなに寂しいか…」





真選組は、現在多忙でほとんど屯所には人間がいない。

勿論、副長である土方もいない。




***

「んじゃ、行ってくるから。」

そう言って土方は万事屋の玄関の戸を開こうと手を伸ばした。
その時、銀時が土方の手首を掴んだ。


「なぁ、土方。」

「なんだ?」

「あの…その…どのくらいかかるんだ?その仕事…」

「一週間くらいか…。」

その言葉を聞いて途端に元気をなくす。


「その仕事って…危険なのか…?」

「まぁな。今回は『春雨』が絡んでるから少々厄介なんだ。」

「…そうか…。」


土方を掴む手が強くなる。


「ちゃんと連絡しろよな…。…心配だから。」

「馬鹿。ったりめーだろ。」


土方は銀時の頭を撫でて、万事屋をあとにした。





銀時は落ち着かなかった。

自分の一番大切な人が危険な仕事をしているかと思うと気が気でなかった。


そっと机の中から取り出した白い物…そう、携帯電話。

最近江戸で流行っているようで、土方が面白半分で購入してきた物だ。


携帯を開くが、特に何の連絡もなく時計が表示された画面があるだけだ。


「銀ちゃん、何回見ても変わらないアルヨ。」

「わーってる…。」

「…今、この『乙女』に何を言っても無駄アルな。」


そう言って神楽は定春を連れてどこかに行ってしまった。


そう、あれから3日経った
しかし、土方からの連絡は何もない。


重い溜息をつくとソファーに腰を下ろす。

テーブルの上に置かれた携帯電話は何の変化も見せることなく存在しているだけであった…


ブーブー……


その時、携帯のバイブが鳴る。

銀時はその携帯を手に取り通話ボタンを押した。


「…もしもし…?」

「……。」

確かに相手は土方なのだが、何の返事もない。

聞き取りずらいのかと思い、もう一度言うが結果は同じだった。

「おい!ひじ…」
「…いたい…」

「何?」

「…逢いたい…」

「…っ…」

「毎日お前のことを考えてた。…そしたら逢いたくなっちまった…。」

「…っか…馬鹿…」


自然と涙が零れる。

姿は見えないけど声を聞いただけで安心した。

同じ時間を共有できる幸せを実感しつつ話を続ける。

「…何泣いてんだよ銀時。」

「馬鹿!…なんで連絡してくれなかったんだよ!俺はお前の身に何かあったのかと思って…心配して…」

「悪かった。忙しかったんだ俺も。」

「そんな言い訳聞きたいわけじゃない!」

「…ごめん。」


本当は楽しい話しをしたかった。

でも気づいたらいつのまにか土方ばかりを責めていた。


心配してたから…それだけ大切だと思ってるから…

言い出したら止まらなくなって、銀時が一方的に話していた。


「お前がそんなに俺のことを想ってくれてると思わなかったから…。」

「…好きなやつを心配するのはあたりまえだろ…。…早く帰ってこいよ…」

「おう。」

「んで、帰ってきたらパフェ奢れよ。」

「ん。」

「それから…」

「わかったから。何でも言うこと聞くからな。」





「これじゃまるで子供だな。」と思いつつ銀時のわがままを聞く。





「うん…じゃあ…頑張れよ…」

そう言って電話を切った。






それから4日はあっという間に経ち、真選組一行は帰ってきた。

屯所の前で待つ銀時。

土方の姿が見えると走り、いきなり飛びついた。


「おかえり!」

「ちょっ!銀時…!」

「相変わらずラブラブですねェお二人さん。…死ね土方。」


沖田は呆れた表情で銀時と土方を見ている。

他の隊士も2人の熱愛ぶりに恥ずかしくなり目を伏せている。

近藤はガハハと笑うと土方の肩をポンと叩き、「万事屋とどっか行ってこい。」と言う。




「んじゃ、行ってきまーす!」

「旦那ァ、土方さんに襲われそうになったらいつでも呼んでくだせェ。退治しに行きまさァ。」

「アハハ、そうするわー。」

「銀時!テメェ!」

「う、嘘だって!!…おい!ちょっと待てよ!」



この後、2人は2人だけの時間をたっぷり満喫しましたとさ。






end






『一言』
読んでくださり、ありがとうございます。
こう…PCで書くのはなんて楽なんでしょう!
携帯の10分の1くらいの速度で書けます。
何たって思ったことを瞬時に記せますからね!

…なんですかね、書いてて恥ずかしくなりましたよ。
いつも土方のことが心配で仕方ない銀さんだといいと思います。
あと、2人のことは全員が知っていたらいいと思います。
電話…いいですね。(何が)土方愛されてんなーと書いた自分が一番思ってます。
相変わらず仲のよい夫婦だこと。(ぇ

2008.10.26



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